プロスクリプティオ

プロスクリプティオとは

プロスクリプティオ（ラテン語: proscriptio）は、ローマ共和政において特定の個人を国家の敵として法の保護から排除する手続きです。この制度は、主にコルネリウス法に基づいて運用され、指名された対象者は、その生命や財産を奪われても罪に問われることはありませんでした。このような制度は、政治的な闘争や権力維持の手段として用いられました。

歴史的背景

プロスクリプティオは、特に共和政時代に顕著に現れる政治的措置です。古代ローマの期間中には、少なくとも二度の主要な実施が記録されています。

第一回目の実施

最初のプロスクリプティオが行われたのは、ルキウス・コルネリウス・スッラが終身独裁官に就任した際です。スッラは、反対者と見なした元老院議員や騎士階級の者たち、合計300人以上の名前を公表しました。この結果、約9000名が殺害されたと考えられています。この出来事は、古代ローマにおける権力闘争がどれほど過酷であったかを示すものです。

第二回目の実施

次に、プロスクリプティオが盛んに行われたのは、第二回三頭政治の時代です。この時期には、多くの著名人がプロスクリプティオの対象となり、特にマルクス・トゥッリウス・キケロのような政治家が命を落としました。この時代の動乱は、特定の人々を抹消するための手段としてプロスクリプティオが利用されたことを示唆しています。

プロスクリプティオの影響

古代ローマの滅亡後も、プロスクリプティオという概念は多くの歴史的出来事に影響を与えました。例えば、フランス革命の恐怖政治時代には、政府が特定の人々を反革命者として排除し、国民公会での議決に基づいて彼らに対しプロスクリプティオが下されました。この場合、対象者はただちに逮捕され、革命裁判所での儀式的な手続きを経て、死刑宣告を受けました。これは、司法権がいかにして権力者の手の中にあったかを象徴しています。

オックスフォード英語辞典では、プロスクリプティオは「追放または死刑の宣告」と表現されており、法的手続きにおいての恣意的な行使を示しています。

関連事項

プロスクリプティオに関連する概念として、ダムナティオ・メモリアエやセナトゥス・コンスルトゥム・ウルティムムが挙げられます。また、宗教的な観点からは破門が、法的な観点からは中世の水準でのアウトローが関連事項となります。

このように、プロスクリプティオは単なる法的措置だけでなく、権力と政治の複雑な相互作用を反映した歴史的な手段であったと言えるでしょう。

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