プロチェ

プロチェ：アドリア海に面したクロアチアの重要港湾都市

プロチェ（クロアチア語: Ploče、イタリア語: Porto Tòlero）は、クロアチア南部のドゥブロヴニク＝ネレトヴァ郡に位置する港湾都市です。アドリア海に面し、ネレトヴァ川河口の三角州の北に位置しています。2001年の国勢調査では、人口は10,834人で、その95%以上がクロアチア人です。

ボスニア・ヘルツェゴビナの重要な港

プロチェはその地理的な位置から、ボスニア・ヘルツェゴビナにとって最も重要な港として機能しています。中央ディナル・アルプス山脈の南端に位置し、汎ヨーロッパ回廊5C線の終点となっているため、内陸国であるボスニア・ヘルツェゴビナにとって、国際的な物流の重要な拠点となっています。

プロチェ港の歴史

プロチェの港は、1387年に初めて文献に登場しますが、本格的な港湾施設が建設されたのは近代に入ってからです。現在の港の建設は1939年に始まりましたが、第二次世界大戦の影響で中断されました。終戦後の1945年に建設が再開され、1948年には人口が480人まで増加しました。1960年代半ばには、アドリア海沿岸の道路とネレトヴァ鉄道の支線がプロチェに接続され、都市は急速に発展しました。

都市の名前の変遷

プロチェは、1950年から1954年、および1980年から1990年の間、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の政治家であるエドヴァルト・カルデリにちなんで、カルデリェヴォ（Kardeljevo）と呼ばれていました。

プロチェ港を巡る問題

現在、プロチェ港の利用を巡って、クロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナの間で交渉が行われています。ボスニア・ヘルツェゴビナは、プロチェ港の施設を経済特区として使用したいと考えていますが、クロアチア市民や地元当局は、クロアチアの主権が制限されることに反対しています。ボスニア・ヘルツェゴビナ政府は、99年間にわたって港を租借地とし、自国の主権を行使したい意向ですが、クロアチアは自国の主権下での商業利用のみを認める立場です。

この問題は長年にわたり、両国間の課題となっています。ボスニア・ヘルツェゴビナは、クロアチアの飛び地であるドゥブロヴニクと本土を結ぶ、ボスニア・ヘルツェゴビナ領ネウムの通過に関して便宜を図る代わりに、プロチェ港の特権的な利用を求めています。しかし、クロアチアはボスニア・ヘルツェゴビナ領を経由せずに本土とドゥブロヴニクを結ぶペリェシャツ橋の建設を計画しており、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府の反発を招いています。

プロチャという愛称

地元住民は、プロチェのことを「プロチャ（Ploča）」と呼んでいます。

プロチェは、クロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナの双方にとって重要な役割を担う港湾都市であり、その歴史と戦略的な位置から、今後も両国関係において重要な存在であり続けるでしょう。

Ploče official site （クロアチア語）

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