プロメチウム

プロメチウム

プロメチウム（英: promethium）は、原子番号61の元素で、元素記号はPmです。この元素は、希土類元素の一種であり、ランタノイドほどの知名度はないものの、放射性同位体を持つ特異な金属として知られています。プロメチウムは安定した同位体が存在せず、発見された中でも最も安定な同位体はプロメチウム145で、その半減期は17.7年です。一方、ウランの核分裂によって生成されるプロメチウム147は、広く利用されることがあります。

名称の由来

名前のプロメチウムは、ギリシャ神話に登場するプロメテウスにちなんで名づけられました。プロメテウスは人類に火をもたらしたことで知られており、科学と技術の進歩を象徴する存在です。

性質

プロメチウムは銀白色の金属であり、常温および常圧で安定した結晶構造を持っています。その構造は、複六方最密充填構造（ABACスタッキング）です。比重は約7.2、融点は1,168 °C、沸点は2,460 °Cと高い値を示します。主に3価の状態（4f4の電子配置）で安定し、これにより水和イオンであるPm3+ aqは淡い紅色をしています。

興味深いことに、プロメチウムは放射性元素であり、青白色から緑色の蛍光を発します。この特性を利用して、プロメチウム147はかつて時計の文字盤などに使用される夜光塗料に添加されていましたが、安全性の懸念から現在は日本国内では使用が禁止されています。なお、プロメチウムは蛍光灯のグロー放電管にも利用されることがあります。また、放出されるβ線のエネルギーを電気エネルギーに変換する原子力電池の素材としても期待されています。

歴史

プロメチウムの発見に至るまでの歴史は興味深いものです。1902年、チェコの化学者ブラウナーが、ネオジムとサマリウムの間に未発見の元素が存在する可能性があることを示唆しました。1913年には、英国の物理学者モーズリーが原子番号に関する重要な発見をし、これにより周期表が原子番号順に並び替えられることとなりました。この洞察は、プロメチウムが未発見の61番元素であることを明かしました。

1947年、確実な発見があるまでには時間がかかりましたが、マリンスキーをはじめとする研究者たちがウラン235の核分裂生成物からプロメチウム147と149を分離し、正式に発見されました。

天然での存在

プロメチウムは天然では主にプロメチウム147としてウラン鉱石に微量存在しています。この存在は、ウランの自発核分裂によって極わずかに生成されると考えられています。地球全体での存在量はわずか780g程度と推定されています。また、プロメチウムには安定した同位体がなく、全ての同位体が放射性です。このように全ての同位体が不安定な元素は、他にテクネチウムやビスマス以降の元素も含まれます。さらに、恒星アンドロメダ座GY星からは輝線スペクトル中にプロメチウムが発見されています。

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