プロ野球記念本塁打一覧

日本のプロ野球界において、特定の通算本数が節目に到達した際の本塁打、すなわち「記念本塁打」とその達成者に関する記録は、その歴史を彩る重要な要素の一つです。これらの記念本塁打は、単なる数字の積み重ねではなく、それぞれの時代背景や選手の個性を示す興味深いエピソードとともに語り継がれています。

プロ野球の歴史が始まった初期においては、現代のようなオーバーフェンスによる本塁打だけでなく、ランニング本塁打も記録に含まれていました。日本プロ野球における栄えある第1号本塁打は、打者・藤井によって放たれたランニング本塁打です。しかし、現在一般的に本塁打として認識されているオーバーフェンスによる第1号は、それから少し遅れて誕生しました。具体的には1936年5月22日、宝塚球場で行われた阪急軍と大東京軍の試合で、阪急軍に所属していた山下実選手が放った一打がこれにあたります。

また、戦後のプロ野球の発展期において、特にセ・パ両リーグが誕生して以降の記録も特筆すべきものがあります。セ・リーグとパ・リーグそれぞれで最初に本塁打を放った岩本選手と戸倉選手は、偶然にも同年に後楽園球場に新設されたナイター設備のもとで、両リーグそれぞれのナイトゲーム第1号本塁打も記録するという、非常に珍しい共通点を持っています。

記念本塁打の記録は、時として過去の検証によって修正されることがあります。かつて、プロ野球通算の1万号から3万5000号までの記念本塁打については、それぞれ異なる選手が達成したとして公表されていました。しかし、1976年になって、1939年の大阪タイガースの年間チーム総本塁打数が、それまで公式記録とされていた33本ではなく、実際には32本であったことが判明しました。この記録の訂正に伴い、通算本塁打数のカウントも再計算され、先の1万号から3万5000号までの記念本塁打の達成者が訂正されるという出来事がありました。

数ある記念本塁打の達成者の中でも、特に印象的な記録を持つ選手として、広永選手の名前が挙げられます。彼はプロ野球での通算本塁打数が34本という比較的少ない数字であるにも関わらず、プロ野球通算6万号という大きな節目の一打を放っています。さらに、広永選手はこれ以外にも、パ・リーグ通算3万号本塁打、福岡ダイエーホークスという球団名になってからの公式戦第1号（これは開幕戦でのプロ初打席初本塁打であり、平成最初のパ・リーグ本塁打でもありました）、福岡にあった平和台球場での公式戦最後の本塁打など、数多くの「最初」や「最後」、そして「節目」となる本塁打を記録しています。極めつけは、史上2人目となる両リーグでの代打サヨナラ本塁打です。特にパ・リーグでのその一打は、代打として起用された選手のさらに代打として登場した打席で放たれた、劇的なサヨナラ満塁本塁打であり、相手チームであった千葉ロッテのプロ野球連敗記録を確定させるという、非常に記憶に残る一打となりました。

これらのエピソードからもわかるように、プロ野球における記念本塁打は、単に記録として残るだけでなく、その背景にある物語とともに、ファンや歴史家の間で語り継がれる貴重な財産と言えるでしょう。各時代のプロ野球を彩った選手たちの、記憶に残る一打の積み重ねが、今日の豊かなプロ野球史を形作っているのです。

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