ヘイブンコー

ヘイブンコー (HavenCo) の概要

ヘイブンコーは、データ保管やホスティングを専門とする企業で、データ・ヘイブンとしての役割を果たしました。この会社は2000年に設立され、イギリスのシーランド公国で運営されていました。2008年に業務を停止するまで、様々なメディアに取り上げられ、多くの議論を呼びました。

設立の経緯

2000年8月22日、エセックス出身のマイケル・ベイツが英国の休眠会社を買収し、ヘイブンコーと改名しました。彼の名前はシーランドのマイケル王子としても知られています。ヘイブンコーは、英国内の企業設立関係局に登録され、登録番号04056934を取得しました。主な取締役にはマイケル・ロイ・ベイツとライアン・ドナルド・ラッキーが名を連ねていました。設立者には他にもシーン・ヘイスティングス、ジョ・ヘイスティングス、アヴィ・フリードマンがいます。後に会社の登記はキプロスに移されました。

ヘイブンコーは設立当初からメディアに取り上げられ、特にWIRED誌の表紙を飾るなど世界中にその名が知れ渡りました。しかし、一部の批評家は、ヘイブンコーがシーランド公国に登録されたかのような印象を与える報道に懐疑的でした。特に、同社がドメイン名を発行する際に公国の権威を利用しているとの指摘がありました。

運営とサービス

ヘイブンコーは2000年12月に業務をスタートし、独特な利用規定を設けました。児童ポルノ、スパム、悪意のあるハッキングは禁止されていましたが、それ以外のコンテンツは許容されていました。特筆すべきは、シーランド公国が国際的な知的財産法に加盟していないため、著作権や知的財産権についての制約がないと主張していた点です。これにより、従来の法律から逃れられる場所を提供することが可能でした。

提供されていたサービスは多岐にわたり、ITコンサルタントやシステム管理、海外でのソフトウェア開発、電子メールサービスなどが含まれていました。しかし、徐々に規約は厳格化され、EUで違法とされるポルノグラフィや著作権侵害が禁止されるようになりました。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件を受け、ヘイブンコーは「国際的な慣行と慣習に逆らった」行動には対応しないとする方針を示しました。

会社の衰退

2002年、ライアン・ラッキーは経営方針の違いからヘイブンコーを去りました。彼の証言によると、会社は未払いの220,000ドルの負債を抱えており、実際には他の従業員の給与に充てられていたとのことです。ヘイブンコーは2008年まで運営を続けていましたが、その後の状況は多くの謎に包まれています。

また、小説「クリプトノミコン」に登場する架空のデータ・ヘイブンに類似している点が多くあり、これが議論を呼ぶ要因ともなっていました。

終焉とその後

2008年11月、ヘイブンコーは事前の告知もなく業務を終了しました。会社の突然の終焉は、数多くの利用者や関心を持つ人々に衝撃を与えました。ヘイブンコーの歩みは、データ保管の新たなビジョンを提案し続けた企業の物語であり、現在でも多くの議論の対象となっています。

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