ヘウム

ポーランド東部に位置するヘウムは、歴史ある都市です。ルブリン県の南東部、ザモシチの北、ビャワ・ポドラスカの南に位置し、ウクライナ国境からはわずか25キロメートルという地理的に重要な位置にあります。かつては独自の県（ヘウム県）の県都でしたが、1999年の行政改革によりルブリン県の一部となりました。

街の景観は、数々の歴史的な記念物や観光名所を有する一方で、近代的な産業都市としての様相も強く呈しています。また、ヘウムはユダヤのユーモア、特にイディッシュの民話において「愚か者の中心地」として語り継がれていることでも知られています。街の北部と東部には、自然保護区であるヘウム造景公園が広がっています。

歴史

ヘウムの地には、少なくとも9世紀には最初の定住地が存在したとされています。その後1世紀のうちにスラヴ人の手によって要塞都市が築かれ、初期には異教信仰の中心として機能しました。市名の由来については諸説ありますが、丘の上に位置することから、スラヴ語で「平らな丘」を意味する言葉に由来するという説が最も有力です。ケルト語が語源であるとする説もあります。

981年頃、この地域には東スラヴ人の一派であるブザン族が居住しており、彼らはキエフ・ルーシの支配下にありました。地元の伝承によれば、キエフ大公ウラジーミル1世が1001年に最初の石造りの城を築いたとされています。1018年にはポーランドの支配下に入りますが、1031年には再びキエフ・ルーシへと戻されました。

街の歴史において特筆すべきは、1235年にハールィチの王ダヌィーロ・ロマーノヴィチがヘウムに都市特権を与え、ハールィチ・ヴォルィーニ大公国の首都としたことです。彼は1240年に丘の上に新たな城を建設し、正教会の主教座を置きました。これは現在の聖母生誕聖堂の基盤となります。14世紀まで、ヘウムはハールィチ・ヴォルィーニの一部として発展を続け、短期間ながらヘウム公国やベウス公国の一部でもありました。しかし、1366年にはポーランド王カジミェシュ3世によって再びポーランド王国の領土に組み込まれ、カトリックの司教座が設置されました。

1392年1月14日には、マクデブルク法に基づいた再度の都市化が行われ、広範な自治権を獲得しました。中世から近世にかけて、ヘウムは「ジェミア・ヘウムスカ」（ヘウムの土地）と呼ばれる歴史的な地方の中心地であり、行政的にはリヴィウを首府とするルテニア県の一部として重要な役割を担いました。

15世紀から16世紀にかけて街は繁栄しましたが、17世紀にはポーランドを襲った度重なる戦乱、特に大洪水時代やフメリニツキーの反乱の影響で衰退しました。18世紀に入ると、徐々に回復を見せ、カトリック、正教、ユダヤ教徒など、ポーランド各地からの新たな移住者を受け入れました。1794年にはヘウム県が創設されましたが、同年勃発したコシチュシュコ反乱では反乱側につき、同年6月8日のヘウムの戦いでロシア軍に敗北しました。街は再び戦火に見舞われ、翌1795年の第三次ポーランド分割によってオーストリア帝国に併合されました。

ナポレオン戦争とその後のポーランド＝オーストリア戦争を経て、ヘウムは短期間ワルシャワ公国の一部となりますが、1815年のウィーン会議の結果、ロシア帝国の統治下に置かれました。ロシア支配下では、地域の行政府や司教座がルブリンに移されるなど、街は一時的な衰退期を迎えます。ロシア軍の強力な駐屯地が置かれ、ロシア兵が人口のかなりの部分を占めるようになりました。しかし、1866年に鉄道が開通したことで、街は再び活気を取り戻し始めます。1875年には、ロシア当局によって東方典礼カトリック教会が強制的に解体され、信徒は正教会への改宗を強いられるという出来事がありました。19世紀末には地方行政事務所が復興され、1912年には独自の県（グベールニヤ）が設置されるなど、地域の中核としての地位を再び確立していきます。第一次世界大戦が終結し、ポーランドが独立を回復した1918年、ヘウムは新生ポーランド共和国の一部となりました。

20世紀、特に第二次世界大戦中のホロコーストにより、ヘウムのユダヤ人コミュニティは壊滅的な被害を受けました。多くの人々が近隣のソビボル絶滅収容所で虐殺されましたが、一部のユダヤ人はヘウムの地下壕などに隠れて難を逃れたと伝えられています。

文化とスポーツ

ヘウムは、ユダヤの民俗伝承、特にイディッシュのユーモアの中で「ヘウムの賢い人々」という皮肉を込めた呼び名で登場することで広く知られています。これは、ヘウムの住人が非常に愚かであるという設定で語られる数々の滑稽な物語に由来します。例えば、安息日（サバト）のために生きた魚を買った男が、暴れる魚に顔を打たれ、裁判所が魚を「溺死させる」という判決を下すといった話があります。これらの物語は、ユダヤ文化における知恵や風刺を伝える役割を果たしています。ノーベル文学賞を受賞したユダヤ人作家アイザック・バシェヴィス・シンガーも、ヘウムに関する民話を英語で紹介しています。

スポーツ分野では、サッカークラブのヘウミアンカ・ヘウムや、女子バスケットボールクラブのAZSヘウムが活動しています。

姉妹都市

ヘウムは、以下の国内外の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

リトアニアウテナ
ウクライナコーヴェリ
ドイツジンデルフィンゲン
アメリカ合衆国ノックスビル (テネシー州)
* フランスモルレー

長い歴史の中で様々な国の支配下におかれ、多様な文化が交錯したヘウムは、産業都市としての側面を持ちながらも、ユニークな歴史と文化を持つポーランド東部の重要な都市です。

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