ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム

ヘキサニトラト[セリウム]酸アンモニウム

ヘキサニトラト[セリウム]酸[アンモニウム]]、略称でCAN（セリウム、アンモニウムの意）は、化学式(NH4)2[Ce(NO3)6]で表される錯体です。この化合物の中心金属はセリウム]で、6つの[硝酸イオンが配位されています。このため、ヘキサニトラトセリウム]酸[アンモニウムは、硝酸セリウム][アンモニウムとも呼ばれています。セリウムの3価系であるヘキサニトラトセリウム]酸[[アンモニウムは、産業での利用があまりないため、一般的に「硝酸セリウムアンモニウム」と言う場合は4価の塩を指すことがほとんどです。

この化合物は化学的性質において硝酸アンモニウムに似ており、爆発性や環境への影響も影響も類似しています。セリウムは元素として人体や環境において特に有害であることは知られていませんが、4価イオンは強い酸化性を示し、主に有機合成に利用されています。取り扱う際は消防法などの規制が適用され、腐食性のある物質として十分な注意が必要です。また、試薬としての規格はJIS K 8556で定義されています。

製法

ヘキサニトラト[セリウム]酸[アンモニウム]]の製造は、酸化セリウム]を熱濃[硝酸に溶解させ、硝酸セリウム]の錯イオンを形成することから始まります。その後、[[アンモニアガスを吸収させるか、硝酸アンモニウムと反応させて複分解を行います。ただし、強酸下でなければ加水分解が進行してしまうため、注意が必要です。

用途

ヘキサニトラト[セリウム]酸アンモニウムは、その強い酸化性を活かして、有機合成化学や半導体産業における酸化剤として広く利用されています。具体的には、有機合成における様々な反応で用いられ、精密化学の分野でも重要な役割を果たしています。特に、半導体製造では、金属クロムを二クロム酸イオンに酸化・溶解するプロセスにおいて、ウエットエッチング液の主成分として用いられています。

この技術は、[液晶ディスプレイ]]のカラーフィルタやフォトマスクの製造工程において特に重要です。スパッタリングと比較して、集積度が低く大面積の製品に適しているため、精度が求められる微細加工が可能です。また、濃度管理を的確に行うことで、金属クロムの薄膜上にフォトレジストで描かれた微細回路パターンを高精度で顕像化することができます。この理由として、[[セリウム]は320 nm付近で吸収の極大を持っており、適切な濃度管理を行うことができるからです。

関連項目

• - セリウム
• - 硝酸塩

参考リンク

• - 日本化学産業 クロム膜エッチング液

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