ヘヒシュテットの戦い

ヘヒシュテットの戦い (1703年)

ヘヒシュテットの戦い、またはヘーヒシュテットの戦いは、1703年9月20日に現在のドイツ・バイエルン州ヘーヒシュテット・アン・デア・ドナウで発生した、スペイン継承戦争における重要な戦闘です。フランス・バイエルン連合軍と神聖ローマ帝国・プロイセン連合軍が衝突しました。この戦いは、翌1704年に行われたブレンハイムの戦い（第2次ヘヒシュテットの戦いとも呼ばれる）と区別するために、第1次ヘヒシュテットの戦いとも呼ばれます。

戦いの背景

フランス軍がライン川を越えてバイエルン軍と合流したことで、オーストリアへの直接的な侵攻が可能となりました。これに対し、神聖ローマ帝国軍はフランス・バイエルン連合軍を撃破すべく、急ぎバイエルンへ進軍しました。

当初、フランスの将軍ヴィラールは、迅速にオーストリアの首都ウィーンを攻撃すべきと主張していました。しかし、バイエルン選帝侯マクシミリアン2世エマヌエルは、オーストリア領チロルの占領を優先。6月にヴィラールをバイエルンに残し、チロルへ侵攻を試みましたが、住民の激しい抵抗に遭い、8月には撤退を余儀なくされました。

戦闘の経過

9月に入ると、神聖ローマ帝国の将軍バーデン＝バーデン辺境伯ルートヴィヒ・ヴィルヘルムがアウクスブルクを奪取し、西からバイエルンを牽制しました。一方、ドナウ川河畔でヴィラールの監視に当たっていたリンブルク＝シュテュルム伯ヘルマン・オットー2世は、ルートヴィヒ・ヴィルヘルムとの合流を目指し、9月19日にヘヒシュテットに到着しました。

ヴィラールはマクシミリアン2世と協議し、神聖ローマ帝国軍の合流を阻止するため、ヘヒシュテットから近いディリンゲン・アン・デア・ドナウに駐屯させていたフランス軍7000を派遣し、背後からの奇襲を命じました。

9月20日、ディリンゲンのフランス軍はヘヒシュテットの神聖ローマ帝国軍に攻撃を仕掛けましたが、兵力で劣るため、すぐに押し返されました。しかし、続いてヴィラールとマクシミリアン2世率いる本隊が戦場に到着し、神聖ローマ帝国軍に攻撃を敢行。激戦の末、神聖ローマ帝国軍を打ち破りました。神聖ローマ帝国軍は3000の損害を出し敗走。多くの大砲と輜重を奪われました。プロイセン軍を率いるアンハルト＝デッサウ侯レオポルト1世はネルトリンゲンへ撤退しました。一方、フランス・バイエルン連合軍の損害は約1000程度でした。

戦いの影響

戦後、アウクスブルクはバイエルン軍によって陥落し、ドナウ川流域の大部分がフランス・バイエルン連合軍の支配下に入りました。しかし、ヴィラールとマクシミリアン2世が作戦方針を巡って対立。ヴィラールはフランス政府の意向により本国へ召還され、代わりにタラール伯カミーユ・ドスタンとフェルディナン・ド・マルサンがマクシミリアン2世の補佐として派遣されました。

深刻な状況に陥った神聖ローマ帝国は、同盟国であるイングランドに援軍を要請。これにより、1704年には戦況が大きく変化することになります。

参考文献

* 友清理士『スペイン継承戦争 マールバラ公戦記とイギリス・ハノーヴァー朝誕生史』彩流社、2007年。

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