ヘルツォーク&ド・ムーロン

ヘルツォーク&ド・ムーロン：建築家ユニットの歴史と業績

ヘルツォーク&ド・ムーロン（Herzog & de Meuron、略称HdM）はスイス・バーゼル出身の建築家コンビで、ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンの二人によって構成されています。彼らはスイス連邦工科大学チューリヒ校で共に建築を学び、1978年に共同の建築設計事務所を設立しました。以来、彼らは建築界で数多くの影響力のある作品を生み出し続けています。

業績と受賞歴

彼らの業績は高く評価されており、2001年にはプリツカー賞、2007年には世界文化賞建築部門を受賞しました。初期の活動は地元バーゼルを中心に展開され、1980年代から1990年代にかけてはモダニズムの還元主義を反映した簡素な造形が特徴でした。この時期の作品は、ミニマルアートの巨匠ドナルド・ジャッドの彫刻を思わせるものでした。

しかし、ヘルツォーク&ド・ムーロンは、それにとどまることなく建物の外観を新たな方法で装飾する試みを重ねました。彼らは、石で覆う方法や金属に切れ目を入れる技法を用いて視覚的な変化を追求しました。また、ガラス面に様々な時代の写真や絵画をプリントすることで、建物全体に変化をもたらしました。特に注目されたプロジェクトは、ロンドンのテート・モダンの改装です。このプロジェクトを機に、一躍注目を浴びるようになりました。

2000年代以降の変化

2000年代に入ると、東京・プラダ青山店、バルセロナ・フォーラム、ミュンヘンのアリアンツ・アレナ、さらには2008年の北京国家体育場（北京オリンピックメインスタジアム）などのプロジェクトを手掛け、彼らのデザインスタイルは大きく変貌を遂げました。彼らは、建物の表層には引き続きこだわりを持ちながら、箱型のシンプルな造形からは脱却し、内部の構造が外部に現れる複雑な形状を取り入れるようになりました。

プラダ青山店では、ガラスに覆われた表面から内部構造が透けて見え、非常に革新的な印象を与えています。また、北京国家体育場では、籐を編んだような独特の柱が建物全体を覆い印象を和らげており、見る者に驚きを与えます。

芸術家とのコラボレーション

ヘルツォーク&ド・ムーロンは、戦後ドイツのアーティストであるヨゼフ・ボイスからの強い影響を受けたことを公言しています。彼らは、作品ごとに異なるアーティストとのコラボレーションを進めることで、新しい表現を不断に追求しています。

成功の要因

彼らの成功の要因は、身近な材料を使いながら、それらの独自の質感や印象を引き出す能力にあります。人々が普通だと思い込んでいる素材から、新たな感動を生み出すことが、ヘルツォーク&ド・ムーロンの特異さでもあります。

彼らの作品は、現代の建築に新しい視点をもたらし、見る人々に感動を与え続けています。

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