テート・モダン

テート・モダン：ロンドンの産業遺産から生まれた現代美術館

ロンドン中心部、テムズ川南岸のサウスバンク地区に位置するテート・モダンは、世界的に有名な近現代美術館です。かつてはバンクサイド発電所として機能していた産業遺産を、見事に美術館へと再生させた、その歴史と建築、そして現代美術のコレクションが魅力です。

発電所からの変貌：歴史と建築

テート・モダンの建物は、1947年から1963年にかけて建設されたバンクサイド発電所を改修したものです。サー・ジャイルズ・ギルバート・スコットによる設計で、99mの煙突が特徴的なレンガ造りの建物でした。ロンドンの電力供給を担っていたこの発電所は、1981年に閉鎖。その後、保存を求める声もあったものの、取り壊しの危機に瀕していました。

しかし、展示スペース不足に悩んでいたテート・ギャラリー（現在のテート・ブリテン）は、この建物を近現代美術館として再利用する計画を立てます。1994年、発電所の改修計画が発表され、建築設計競技を経て、ヘルツォーク＆ド・ムーロンの設計案が採用されました。

発電機を収めていた巨大なタービンホールは、美術館のメインエントランスとなり、屋上にはガラス張りの増築部分も作られました。2000年5月12日、ミレニアムを記念してテート・モダンはオープン。廃墟と化していた発電所は、ロンドンを代表する文化施設へと生まれ変わったのです。

展示：過去と未来の対話

テート・モダンでは、20世紀以降の美術作品を数多く展示しています。旧発電所建物を再利用した本館（ボイラーハウス）は、7階建て。2～4階が常設展示室で、時代順ではなくテーマ別に作品が配置されています。これにより、異なる時代の作品を比較し、美術史の流れを掴むことができます。また、企画展示室では、現代美術の話題作も鑑賞できます。

特に印象的なのが、タービンホールです。この広大な空間では、現代美術家による大規模なインスタレーション作品が、毎年発表されています。ユニリーバ社、そして現在は現代自動車（ヒュンダイ）の支援を受け、これまでに数々の著名なアーティストによる作品が展示され、世界中の注目を集めてきました。

2016年には、ヘルツォーク＆ド・ムーロン設計による新館「スイッチ・ハウス」が開館。ピラミッド型の独特なデザインと、レンガとガラスの美しいコントラストが特徴です。この増築により、展示面積が大幅に拡大し、さらに充実したコレクションを公開できるようになりました。スイッチハウスの地下には、かつて重油タンクだった空間を改装した「タンクス」があり、ビデオアートやパフォーマンスアートなどの展示に使用されています。

アクセスと周辺情報

テート・モダンへのアクセスは良好です。ロンドン地下鉄のセント・ポールズ駅、ブラックフライアーズ駅、サザーク駅から徒歩圏内。また、テムズ川沿いの船からもアクセス可能です。美術館のすぐ近くには、グローブ座もあります。

まとめ

テート・モダンは、産業遺産の再生、そして現代美術の最先端を体感できる、ロンドンを代表する美術館です。入場無料で楽しめるのも大きな魅力です。歴史的な建物と現代美術の融合、そしてテムズ川沿いの美しいロケーションも相まって、忘れられない体験となるでしょう。

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