ヘルマン3世 (シュヴァーベン大公)

ヘルマン3世（Hermann III., 994/5年 - 1012年4月1日）は、11世紀初頭にシュヴァーベン大公として短期間在位した人物です。彼の生涯は、当時の政治情勢と密接に結びついており、特にドイツ王ハインリヒ2世との関係が重要な役割を果たしました。

出自と家系

ヘルマン3世は、シュヴァーベン大公ヘルマン2世とゲルベルガ・フォン・ブルグントの息子として生まれました。父方の祖先はドイツ王ハインリヒ1世に遡り、母方からは西フランク王ルイ4世、さらにはアルフレッド大王やカール大帝といった歴史的な王たちの血を引いています。姉のギーゼラは、後に神聖ローマ皇帝となるコンラート2世と結婚しており、名門貴族の一員でした。

大公位の継承とハインリヒ2世の影響

1003年、ヘルマン3世はわずか9歳頃で父の跡を継ぎ、シュヴァーベン大公となります。しかし、幼少であったため、従兄弟にあたるドイツ王ハインリヒ2世が後見人となり、公領の支配を代行しました。ヘルマン3世の父ヘルマン2世は、1002年の国王選挙でハインリヒ2世に対立し、王位を争った経緯があり、ハインリヒ2世はコンラディン家に対して不信感を抱いていました。そのため、ハインリヒ2世は後見人の立場を利用し、ヘルマン3世の権限を制限する政策をとります。

具体的には、シュヴァーベンの重要な地域（ホーエントヴィール、ブライザハ、チューリッヒなど）を自らの支配下に置き、公爵の造幣所を王家のものに変更しました。さらに、アルザス地方をシュヴァーベン公領から切り離し、親族のメッツ伯ジェラール3世に与えました。これらの措置により、ヘルマン3世は名目上の大公にとどまり、実質的な支配権はハインリヒ2世が握り続けました。

若すぎる死とコンラディン家の断絶

ヘルマン3世は1012年、18歳という若さで死去しました。未婚で子供がいなかったため、コンラディン家の男系は彼の死によって断絶しました。ハインリヒ2世は、バーベンベルク家のエルンスト1世にシュヴァーベン大公位を与え、エルンスト1世は2年後にヘルマン3世の姉ギーゼラと結婚しました。この結婚は、新たな支配体制の安定化に貢献することになります。

ヘルマン3世の短い生涯は、当時の政治的駆け引きと権力闘争の中で翻弄された、若き大公の悲劇を物語っています。彼の死は、コンラディン家の終焉を意味し、シュヴァーベンの歴史に新たな章をもたらすこととなりました。

参考文献

Wolfram, Herwig (2006). Conrad II, 990-1039: Emperor of Three Kingdoms. The Pennsylvania State University Press
Weinfurter, Stefan (2002). Heinrich II. (1002-1024) Herrscher am Ende der Zeiten. Pustet, Friedrich GmbH
Weinfurter, Stefan (1992). The Salian Century: Main Currents in an Age of Transition. University of Pennsylvania Press
Thietmar of Merseburg, transl. D. A. Warner (2001). Ottonien Germany, The Chronicon of Thietmar of Merseburg. Manchester University Press

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