ヘルメス 450

ヘルメス450（Hermes 450）

ヘルメス450は、イスラエルのエルビット・システムズが設計・製造した無人航空機（UAV）です。この機体は、情報収集や監視に特化した多目的な航空機であり、UAVの分野での先端技術を駆使した設計がなされています。特に、自動操縦技術と高性能のセンサーにより、非常に効率的に情報収集活動が行える点が特徴です。

概要

ヘルメス450は、推進式のプロペラ機で、V字型の尾翼を有し、シンプルかつ独自の外観をしています。細長い円筒形の胴体に短いアダプターを介して主翼が取り付けられており、このデザインが他のUAVと一線を画しています。主な動力源として、ヴァンケルエンジンが採用されており、最大離陸重量は550kg以上となっていますが、設計上は450kgを指標としています。ヘルメス450の運用には滑走路が必要で、離着陸時にはこれを使用します。この機体の派生型には、航続時間を延長したヘルメス450LEや、武装可能な攻撃型のヘルメス450Sがあります。

主な用途

ヘルメス450の主な利用目的には、ISTAR（情報収集、監視、偵察、目標捕捉）とELINT（電子情報収集）、COMINT（通信情報収集）が挙げられます。また、武装化のオプションも提供されており、実際には2011年にはスーダンでの攻撃任務において実戦運用が確認されています。

自動操縦とコントロールシステム

高度に自動化された操縦システムにより、オペレーターはセンサーの操作に集中できるため、一人で複数機を同時に管理することが可能です。専用のUGCS（Universal Ground Control Station）には予備を含め2台のコンソールが設置されており、これによりより効率的な運用が実現されています。特筆すべきは、このUGCSは後のヘルメス900とも互換性があり、将来的な発展も考慮されています。

ウォッチキーパー

イギリス陸軍では、ヘルメス450を基にしたウォッチキーパー（WK450）を導入しています。この機体は、砲兵向けの弾着観測や目標捕捉のためにタレスUKにより改良されました。元のデザインをほぼ保持しつつ、EO/IR（電子光学/赤外線）センサーと合成開口レーダーを追加することで、悪天候時にも地上の動く目標を探知可能としています。機体は分解可能でコンテナに収容ができ、迅速な展開が可能です。ウォッチキーパーの初飛行が2010年に行われ、2014年に正式に運用が開始されました。

運用国

ヘルメス450は、世界各国で運用されています。具体的には、アゼルバイジャン、コロンビア、イギリス、イスラエルなどが挙げられます。また、シンガポール空軍では、9機以上を保有しています。特にイスラエルでは、同機は第161飛行隊によって「Zik」と呼ばれ運用されており、アメリカ合衆国でも税関・国境警備局にて使用されています。

諸元（ヘルメス450）

• - 全長: 6.1 m
• - 全幅: 10.5 m
• - 最大離陸重量: 550 kg
• - エンジン: ヴァンケルエンジン（52馬力）×1
• - 最大速度: 176 km/h
• - 運用高度: 5,486 m
• - 航続時間: 17-20時間
• - 行動半径: 300 km
• - ペイロード: 180 kg

武装化と攻撃任務

ヘルメス450は、ミホリットミサイルやスパイクなど、複数の武器を搭載することが可能で、対戦車攻撃などの任務にも応じられます。特に、イスラエルの軍事作戦においては重要な役割を果たし、多くの実戦データが蓄積されています。

このように、ヘルメス450は多才な機体であり、現代の戦場における無人航空機の重要性を示す顕著な例です。

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