ヘロン (航空機・イスラエル)

IAI ヘロン (IAI Heron)

IAIヘロンは、イスラエル・エアクラフト・インダストリーズ (IAI) の無人機開発部門であるMALATが開発した先進的な無人航空機（UAV）です。この機体は、中高度・長時間滞空型（MALE）に分類され、イスラエル軍ではShovalまたはMachatz-1の名称でも知られています。

機体概要

ヘロンは、前身であるサーチャーの設計を踏襲しつつも、より大型化した推進式双胴機です。基本的な運用方法はGPSを用いて事前設定された飛行経路を自動で追従するものであり、オペレーターによる遠隔操縦も可能です。さらに、衛星通信技術にも対応しており、リアルタイムでのデータ転送が可能です。

搭載されているセンサーには、EO/IR（電子光学/赤外線）センサー、合成開口レーダー、信号情報収集（シギント）機器、電子戦用機材、通信中継装置などがあり、様々なミッションに対応しています。IAIでは、航続距離をさらに延伸するための空中給油装置の設計も進行しています。

派生型

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IAIヘロンにはいくつかの派生型があります。以下に主なものを紹介します。

• - アーファング (Harfang): エアバス・ディフェンス・アンド・スペースによってフランス向けに改良されたバージョン。
• - スーパーヘロン (Super Heron): 2014年に発表された改良型で、重質燃料に対応したエンジンを搭載し、機体の性能を向上させています。
• - ヘロンTP（Heron TP）: より大型のターボプロップエンジンを搭載し、ペイロードを1,000kgに強化したモデルですが、ミサイル技術統制レジーム(MTCR)の影響で一部の輸出が延期されました。2017年に、ペイロードをヘロン1と同等の450kgとしたヘロンTP-XPが発表され、MTCR加盟国への導入が可能になりました。イスラエル軍ではエイタンの名で運用されています。
• - 海洋監視型: IAIのシー・スキャンなどの有人海上哨戒機の代替として機能します。EL/M-2022海上監視レーダーやTamam MOSP電気光学センサーを搭載し、長時間の偵察を可能にしています。

採用国

IAIヘロンは多くの国に採用されており、以下はその一部です。

• - アゼルバイジャン
• - オーストラリア: ヘロン1を2010年から運用し、2017年には新型へ移行が提案されています。
• - ブラジル
• - カナダ
• - エクアドル
• - フランス: 2005年にアーファングを導入し、2013年にはセルヴァル作戦に利用されました。
• - ドイツ
• - インド
• - イスラエル
• - モロッコ
• - シンガポール: ヘロン1を2012年から運用し、8機以上を保有しています。
• - 韓国: 2014年に4機のヘロン1を購入し、北朝鮮監視の重要な手段として使用しています。
• - トルコ
• - アメリカ合衆国
• - メキシコ

また、日本ではRQ-4グローバルホークの導入に伴い、ヘロンTPをベースにした無人偵察機の共同開発構想が浮上しています。

諸元

• - 全長: 8.5m
• - 全幅: 16.6m
• - 最大離陸重量: 1,250kg
• - エンジン: ロータックス914 レシプロエンジン (115馬力) × 1
• - 最大速度: 222km/h
• - 運用高度: 9,144m+
• - 航続時間: 40時間+
• - 行動半径: 250km（見通し線圏内）または1,000km（見通し線圏外）
• - ペイロード: 250kg

参考文献

• - 『軍用ドローン年鑑』 2016年発行 イカロス出版

IAIヘロンは、その性能と多用途性から、現代の軍事活動において重要な役割を果たしている無人機です。

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