ヘント陥落

ヘント陥落：オーストリア継承戦争における戦略的要衝の喪失

1745年7月15日、オーストリア継承戦争の最中、レーヴェンタール伯爵率いるフランス軍約5,000が、オーストリア領ネーデルラントの都市ヘントを奇襲し、占領しました。このヘント陥落は、同盟軍にとって大きな衝撃となり、その後の戦局に大きな影響を与えることになりました。

戦いの背景

ヘントは、同盟軍にとって重要な補給基地でした。1742年に国事軍が編成されて以来、兵站を支える上で欠かせない拠点となっていたのです。しかし、フォントノワの戦いでの敗北直後という状況も重なり、ヘント陥落の報せは同盟軍にさらなる動揺をもたらしました。

イギリス軍の一連隊（ジェームズ・ウルフを含む）は、ヘント陥落の直前に脱出に成功し、捕虜となることを免れました。しかし、カンバーランド公ウィリアム・オーガスタスが派遣した援軍は、イギリス、ハノーファー、オランダ、オーストリアの混成部隊4,000～5,000人で構成されていましたが、メレの戦いでフランス軍に敗北。ヘントに到着できたのはわずか1,000人程度でした。

ヘントの陥落

ヘントは完全に包囲され、7月11日には市街地がフランス軍に奪取されました。レーヴェンタールは、占領した市街地からヘントの城塞への砲撃を開始。援軍の到着が見込めない状況に加え、レーヴェンタールの軍勢が15,000人にまで増強されたことで、城塞の駐留軍は戦意を喪失してしまいます。そして7月15日、レーヴェンタールが強襲を仕掛けたことで、城塞はあっけなく陥落しました。

この戦いで、同盟軍は3,000人もの捕虜を出し、大量の補給物資を失いました。ヘントはその後、フランス軍がブリュッセルへ進軍する際の通り道となり、ブリュッセル包囲戦へと繋がっていきます。

ヘント陥落の影響

ヘント陥落は、単なる都市の喪失以上の意味を持っていました。同盟軍の補給体制を大きく揺るがし、その後の作戦遂行に深刻な影響を与えたのです。また、戦略的要衝を失ったことで、フランス軍の進撃を許し、ブリュッセル包囲という更なる危機を招くことになりました。

このように、ヘント陥落は、オーストリア継承戦争における重要なターニングポイントの一つであり、その後の戦局を大きく左右する出来事だったと言えるでしょう。

参考文献
Browning, Reed. The War of the Austrian Succession. Alan Sutton Publishing, 1994.
Brumwell, Stephen (2007). Paths of Glory: The Life and Death of General James Wolfe, Continuum International Publishing Group, ISBN 978-0-7735-3261-8

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