ホーエンフリートベルクの戦い

ホーエンフリートベルクの戦い：プロイセン軍の奇跡的勝利

ホーエンフリートベルクの戦いは、1745年6月4日に勃発したオーストリア継承戦争における重要な戦いの一つです。この戦いで、フリードリヒ大王率いるプロイセン軍は、ロートリンゲン公子カール率いるオーストリア・ザクセン連合軍を打ち破り、戦局を大きく有利に導きました。この勝利は、フリードリヒ大王の軍事的才能を示すとともに、プロイセン軍の精強さをヨーロッパに知らしめることとなりました。

戦いの背景

1744年、第二次シュレージエン戦争において、プロイセン軍はベーメンへの侵攻を試みましたが、焦土作戦と補給線への攻撃により大敗を喫しました。カール7世の死後、フリードリヒ大王はシュレージエン返還による和平を模索しますが、大臣の反対により戦争継続を決意します。一方、マリア・テレジアはザクセンとワルシャワ条約を結び、シュレージエン奪回を目指し、両国の対立は深まっていきました。

春、ケーニヒグレーツに集結したオーストリア・ザクセン連合軍はシュレージエンに進軍を開始します。フリードリヒ大王は、連合軍の進路を予測し、プロイセン軍が再建困難であるという偽情報を流すことで、連合軍をシュレージエンに誘い込むことに成功します。連合軍を率いるカール公子は、プロイセン軍が戦力を低下させ、ブレスラウまで撤退すると考えました。しかし、実際にはプロイセン軍は再編成を完了し、フランケンシュタインに集結していたのです。

5月末、連合軍はズデーテン山地を越えてシュレージエンに侵入します。フリードリヒ大王は軍をシュヴァイトニッツ周辺に移動させ、シュトリーガウ前面を決戦の地と定めました。6月2日、オーストリア軍の前衛部隊がシュトリーガウ西方郊外に現れますが、プロイセン軍は抵抗せずに場所を明け渡しました。連合軍は、プロイセン軍がシュヴァイトニッツから動かないという報告を受け、ブレスラウへ撤退すると信じ込み、6月3日、シュトリーガウ郊外に到着しました。

カール公子は、宿営の便を考慮して自軍をホーエンフリートベルクに、ザクセン軍をその北東ピルグラムスハインに配置しました。しかし、この配置は両軍の間に距離があり、敵の攻撃を想定していないものでした。フリードリヒ大王が決戦を企図しているとは夢にも思わず、カール公子は翌朝のシュトリーガウ攻撃をザクセン軍と打ち合わせると、戦勝を確信して床につきました。

戦闘の経過

フリードリヒ大王は6月3日午後9時、全軍に出撃を命じました。シュヴァイトニッツの陣営には天幕を張ったままにし、篝火を焚いて出撃を悟られないようにしました。行軍中の音を消すために武器を布で包み、砲車の車輪に藁を括りつけるなど、徹底した偽装工作が行われました。プロイセン軍はまず、ザクセン軍に集中攻撃をかけることで奇襲を開始し、その後にオーストリア軍を撃破するという作戦を立てました。

6月4日午前2時から4時にかけて、プロイセン軍はシュトリーガウ川を渡河しました。この渡河は、敵に気づかれないように静かに行う必要がありましたが、プロイセン軍は訓練と規律によってこれを成功させました。午前6時ごろ、プロイセン軍はザクセン軍への攻撃を開始しました。ヴァイセンフェルス公率いるザクセン軍は、プロイセン軍の奇襲を受け、騎兵部隊は壊滅、歩兵部隊も崩壊し、全面潰走となりました。

ザクセン軍の敗走後、プロイセン軍はオーストリア軍への攻撃を開始しました。カール公子は、ザクセン軍がシュトリーガウを砲撃していると思い込み、適切な対応を取らず、プロイセン軍の攻撃に気づくまでに時間を費やしました。オーストリア軍は、ザクセン軍の敗走を受けて単独でプロイセン軍と交戦することになり、苦戦を強いられました。プロイセン軍は、左翼にナッサウの騎兵軍団を配置し、中央に歩兵戦列を形成してオーストリア軍に攻撃を仕掛けました。激しい戦闘の末、プロイセン軍はオーストリア軍を打ち破り、勝利を収めました。

戦いの結果と影響

ホーエンフリートベルクの戦いは、プロイセン軍の大勝利に終わりました。オーストリア軍はケーニヒグレーツまで敗走し、部隊をまとめることができませんでした。この勝利により、フリードリヒ2世は大王と呼ばれるようになり、プロイセンは戦況を再び優位なものとすることに成功しました。この戦いを記念して、ホーエンフリートベルク行進曲が作られました。

この勝利は、プロイセン軍の軍事改革の成果を示すとともに、ヨーロッパの勢力図に大きな影響を与えました。プロイセンは、この勝利を足がかりに、オーストリアとの和平交渉を進め、シュレージエンの領有を確定させることに成功しました。

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