ヘンリーバローズ

ヘンリーバローズ：未完の才能から始まる新たな物語

競走馬として、そして種牡馬として、大きな期待と惜しまれる引退というドラマチックな人生を歩んだヘンリーバローズ。その生涯を紐解いていきましょう。

華麗なるデビューと突然の引退

2015年、北海道安平町のノーザンファームで誕生したヘンリーバローズは、セレクトセールにおいて1億2千万円という高額で落札されました。この金額からも、関係者の高い期待が窺えます。兄には、クラシックで活躍しながらも故障により未完の才能として惜しまれたシルバーステートという、いわば伝説的な競走馬がいました。

2017年、栗東・角居勝彦厩舎に入厩。デビュー戦では、ダービー馬ワグネリアンに僅差で敗れながらも2着と好成績を収め、その潜在能力の高さを示しました。続く未勝利戦では、単勝1.1倍の圧倒的支持を受け、圧勝で初勝利を飾ります。この活躍から、クラシック戦線での活躍が期待され、大きな注目を集めました。

しかし、その後、脚部不安により長期休養を余儀なくされ、残念ながら競走馬としての復帰は叶いませんでした。2019年6月、わずか2戦という短い競走生活に幕を閉じ、JRAの競走馬登録を抹消されました。

種牡馬としての新たな挑戦

引退発表時は将来が不透明でしたが、引退から僅か数日後、種牡馬入りすることが決定。イーストスタッドを繋養先に迎え、新たな道を歩み始めました。イーストスタッドは、その決定について、セレクトセールでの高評価、兄シルバーステートの人気、そしてヘンリーバローズ自身の優れた体格を理由に挙げています。ディープインパクトの後継として期待されているというコメントも発表され、その期待の大きさがわかります。

ヘンリーバローズは、イーストスタッドとアロースタッドを2年毎に行き来する国内シャトル種牡馬として活動することが予定されています。短い競走生活ではありましたが、その才能と血統背景から、種牡馬としても大きな期待が寄せられています。

輝ける血統と将来への期待

ヘンリーバローズの血統は、まさにサラブレッドの系譜と言えるでしょう。兄のシルバーステートは「幻のダービー馬」「未完の大器」と称され、その名を残しました。母シルヴァースカヤはフランスで活躍し、GIIIを2勝。さらに、母が日本に輸入される前にドイツで産んだ半兄Sevilleは豪州のG1ザ・メトロポリタンを制覇しています。また、近親には京都記念を制したシックスセンスも名を連ねます。

これらの輝かしい血統背景と、デビュー時の高い評価、そして種牡馬としての期待を背負い、ヘンリーバローズの新たな物語は始まったばかりです。彼の産駒がどのような活躍を見せるのか、今後の展開に注目が集まります。その才能が、種牡馬として開花し、新たなスターを輩出してくれることを期待せずにはいられません。彼の名前は、日本の競馬史に、新たな一章を刻むことになるでしょう。

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