ヘンリー・カボット・ロッジ・ジュニア

ヘンリー・カボット・ロッジ・ジュニア（Henry Cabot Lodge Jr.、1902年 7月5日 - 1985年 2月27日）は、アメリカ合衆国の政治家、外交官として活躍した人物です。彼は、1960年アメリカ合衆国大統領選挙において、共和党の副大統領候補であったことでも知られています。また、祖父は上院議員と上院外交委員長を務めたヘンリー・カボット・ロッジであり、政治家一族の血を引いています。

生い立ちと経歴

1902年 7月5日、マサチューセッツ州ナハントで生まれました。ロッジ家は、マサチューセッツ州において政治と芸術の両面で著名な一族でした。父親は詩人のジョージ・カボット・ロッジ、母親はマチルダ・エリザベス・フリーリングハイゼン（デイヴィス）ロッジでした。祖父であるヘンリー・カボット・ロッジ上院議員は、父親が1909年に亡くなった後、彼の成長に大きな影響を与えました。また、彼は上院議員のジョージ・カボットの子孫であり、下院議員のオーガスタス・ピーボディ・ガードナーの甥でもありました。

ミドルセックス・スクールを経て、1920年に卒業。その後、1924年にハーバード大学を優秀な成績で卒業しました。新聞記者（ヘラルド・トリビューン紙など）として経験を積んだ後、1931年にマサチューセッツ州下院議員に選出され、1936年まで務めました。1936年の上院議員選挙では共和党から出馬し、ジェームズ・マイケル・カーリー前州知事を破り、見事当選を果たしました。

軍歴

ロッジは陸軍に入隊し、その功績により中佐まで昇進しました。第二次世界大戦では2度の勤務を経験しています。最初は1942年で、この時は上院議員を兼務していましたが、2度目の1944年から1945年は議員を辞職し、軍務に専念しました。

最初の期間は陸軍予備役士官として、第1装甲師団に少佐として着任しました。同師団は北アフリカを拠点とし、イギリス軍の戦車部隊と共にエジプト・リビアで作戦に参加。部隊は地上でドイツ軍と最初に接触したアメリカ軍装甲部隊でした。しかし、フランクリン・D・ルーズベルト大統領が軍務を兼任する国会議員に対して兼務を禁止する命令を出したため、ロッジは議員に留まることを選択し、1942年7月に任務を終えました。ヘンリー・スティムソン陸軍長官からワシントンへの帰還命令を受け、帰国しました。

ワシントンに戻り、1942年11月に再選を果たすと、ロッジは上院議員としての任期の初年度を勤務しました。しかし、1944年2月3日に議員を辞職し、軍務に復帰。彼は南北戦争以来初めての、軍務に就くために辞職した議員でした。イタリアおよびフランスで実戦を経験し、中佐に昇進。1944年の秋には自力でドイツ軍斥候4名を捕虜として捕らえています。1945年3月までに、フランスのレジオンドヌール勲章と、クロア・ド・ゲールを受章しました。1945年の終戦時には、第6軍司令官ジェイコブ・デヴァース将軍の連絡及び通訳担当将校として西オーストリアにおいてドイツ軍の降伏交渉に臨席しました。

戦後の政界復帰と外交官としての活躍

戦後、ロッジはマサチューセッツに戻り、再び上院議員に選出され、政治経歴を再開しました。1952年には上院議員選挙で対立候補のジョン・F・ケネディに敗北しましたが、1953年にはドワイト・D・アイゼンハワー大統領より3代目アメリカ合衆国国際連合大使に任命されました。1960年アメリカ合衆国大統領選挙では、リチャード・ニクソン大統領候補の副大統領候補に指名され、国際連合大使を辞任。しかし、ニクソンは大統領選挙でケネディに敗れました。その後、ケネディはロッジを南ベトナム大使に任命し、1963年から1964年まで同職を務めました。

1964年の共和党の大統領候補者争いでは、ニューヨーク州のネルソン・ロックフェラー州知事とバリー・ゴールドウォーター上院議員が激しく競っていました。ロッジは当初から立候補するつもりはありませんでしたが、ニューハンプシャー州予備選挙で有力な2人を破り、書き込み投票（Write-in）で1位になりました。ロッジは改めて指名を求める意志がなく、ロックフェラーを支持することを表明しましたが、その後も地元のマサチューセッツ州、ニュージャージー州の予備選挙で勝利しました。

1985年 2月27日に82歳で死去し、マサチューセッツ州ケンブリッジのマウント・オーバーン墓地に埋葬されました。

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