ヘンリー・ラニング

ヘンリー・ラニング：信仰と医療の道を歩んだ宣教師

ヘンリー・ラニング(1843-1917)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州シラキュース出身の医師にして宣教師です。オールバニー医科大学卒業後、1873年、米国[[聖公会]]の医療宣教師として来日しました。

大阪に赴任したラニングは、まず自宅で診療を始め、日本語を習得しながら医療活動に励みました。まもなく、川口居留地近くに米国伝道会施療院を開設。開院半年で1000人以上の患者を無償で治療するなど、その活動は瞬く間に評判を呼びました。診療活動と並行して、キリスト教関連書籍の販売や貸し出しも行い、医療を通じた布教にも尽力しました。

その後、ラニングは大阪の中心部に新たな診療所を開設、さらに規模を拡大していきます。1877年には2つの診療所で年間約2500人の患者を治療するまでに成長しました。これらの活動は、当時の日本社会に大きな貢献を果たしました。

ラニングの活動は医療にとどまりませんでした。彼は教育にも深く関わっています。1879年、聖テモテ学校（立教大学の前身の一つ）の再興に尽力し、新たに開校した英和学舎（現在の立教大学につながる学校）で教鞭をとりました。テオドシウス・ティングやアーサー・ラザフォード・モリスらとともに教育に携わり、多くの生徒に影響を与えました。

医療活動の拡大に伴い、ラニングは病院建設を強く訴え、米国[[聖公会]]本部へ資金援助を要請。ニューヨーク教区の女性たちの支援もあり、建設資金の調達が実現しました。1883年、川口町に木造二階建ての聖バルナバ病院が完成し、ラニングは初代院長に就任しました。病院建設はテオドシウス・ティングが監督を務めました。翌年には、イギリス人女性看護師が婦長として着任、病院運営はさらに充実を図りました。

ラニングは聖公会信徒の松山高吉らとも交流を深め、医療を通じた地域社会への貢献を続けます。1913年、高齢を理由に院長職を息子に譲りましたが、1873年の来日から40年にわたり、日本の医療と教育に貢献し続けました。1915年に帰国したラニングは、その生涯を日本の発展に捧げた人物として記憶されています。彼の活動は、初期キリスト教宣教の成功例の一つとして、現在も高い評価を受けています。彼の功績は、聖バルナバ病院や立教大学といった、現在も続く機関の存在に如実に表れています。ラニングの生涯は、医療と教育を通して人々の生活を豊かにしようと努めた、献身的な宣教師の姿を象徴的に示しています。彼の活動は、日米両国の友好関係の礎を築いたという点でも重要な意義を持っています。

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