ヘンリー銃

ヘンリー銃

ヘンリー銃（ヘンリーじゅう）、正式名称ヘンリー連発銃（英: Henry repeating rifle）は、1850年代後半に発明されたレバーアクションライフルです。この銃は、ベンジャミン・タイラー・ヘンリーによって開発され、後のスミス＆ウェッソン社を設立したホーレス・スミスとダニエル・ウェッソンが関与したボルカニック銃を改良した結果として登場しました。1860年にニューヘイヴン・アームズ社より初めて市場に登場したM1860ヘンリー・ライフルは、さまざまな特徴を持つ銃でした。

歴史

ヘンリー銃は、当初からその技術的な革新性で注目を集めました。この小銃は、25グレイン（1.6g）の火薬と216グレイン（14g）の銅製マカロニ弾（後に真鍮製）を使用しており、1862年の夏までに900丁が製造され、1864年には月産290丁に達しました。1866年に生産が終了するまでに約14,000丁が作られました。

南北戦争において、この銃は正式な装備ではなかったにもかかわらず、多くの北軍兵士に使用されました。兵士たちはこの銃が生き残りの助けになると信じ、自己負担で購入したものも多かったのです。ヘンリー銃は1分間に最大28発を発射でき、その火力の高さから斥候や散兵部隊で特に多く使用されました。南軍兵士は、前装銃に対するヘンリー銃の優れた発射能力に驚愕し、しばしば「北部野郎の銃は日曜日に弾を込めておけば、一週間撃ち続けられるのか！」と語ったと言われています。少数のヘンリー銃は南軍に鹵獲され、使われたものの、火薬と弾薬の補給が難しい中、広範囲には使用されなかったようです。

1866年にはニューヘイヴン・アームズ社はウィンチェスター社に吸収され、ヘンリー銃は後進のウィンチェスターM1866にその製造ラインを引き継がれました。

作動機構

ヘンリー銃は、26〜28グレイン（1.7〜1.8g）の黒色火薬を使った44口径弾を装填します。そのため、同時代のスペンサー銃などと比べて初速とエネルギーは低いものの、独自の作動機構を持つことがその特徴です。レバーを下げることで薬室から空薬莢が排出され、薬室には次弾がスプリングで送り込まれます。このシステムは操作がシンプルで効率的でしたが、同時に安全性に欠ける側面もありました。特に、使用しない際は撃鉄が暴発する危険が伴ったため、注意が必要でした。

弾倉には16発が装填できるチューブマガジンが使われていましたが、設計上は完全に密閉されておらず、外部からの汚れが入りやすい構造となっていました。後のM1866ではこの問題が改善されています。

現在の生産状況

現在、イタリアのウベルティ・ファイアアームズ社がヘンリーライフルを忠実に再現したモデルを生産。口径はマイナーチェンジされており、様々な種類が市場に流通しています。また、ルイス・インペラートが設立したヘンリー・リピーティング・アームズ社も、ニューヨークで新しいレバーアクションライフルを製造していますが、南北戦争時代のものとは異なる現代の製品です。

メディアにおける表現

西部劇を含む多くの映像作品では、ウィンチェスターのモデルがヘンリー銃として描かれることがあります。これらの銃は「ハリウッド・ヘンリー」と呼ばれることが多く、意外にも時代錯誤やミスリーディングな表現が散見されます。劇中、ウィンチェスター銃特有の装填口が見える場面も多く、映画の歴史の中でのヘンリー銃の扱いに興味深いものがあります。

関連項目

• - ウィンチェスターライフル
• - スペンサー銃
• - シャープス銃
• - ヘンリー・リピーティング・アームズ
• - 小銃・自動小銃等一覧

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