ベインブリッジ島日系アメリカ人排除記念碑

ベインブリッジ島日系アメリカ人排除記念碑

ベインブリッジ島日系アメリカ人排除記念碑は、アメリカ合衆国ワシントン州キトサップ郡に位置する屋外の展示場です。この碑は、日系人が過去に経験した強制収容を追懐し、再び同様の事態が発生しないことを願う目的で設立されています。行政的には、アイダホ州にあるミニドカ国立歴史地区の一部として認識されています。

前史

1880年代、ベインブリッジ島には初めて日本人移民が定住しました。彼らは主に製材所や農業に従事し、1940年までには地域の重要なコミュニティの一部となりました。この島はアメリカ海軍の多数の基地に近く、大統領令9066号により日系人に対する強制立ち退きが最初に行われた場所として歴史に刻まれることになります。

1942年3月24日、227名の日系人が島から立ち退く命令を受け、わずか6日後に島を離れることとなりました。彼らの多くはカリフォルニアのマンザナー強制収容所へ送られ、一部は後にアイダホ州のミニドカ戦争移住センターへ移送されました。ベインブリッジ島では、地元紙が日系人の強制収容に反対する記事を掲載し、被害者の声を広めるために努力しました。

あの時、その島から送致された人々の運命を伝える象徴的な写真も多く撮られました。特に、林田文子が1歳の娘を抱えながらフェリーに乗船する日々を記録した写真は、日系人の強制収容の悲惨さを伝える重要な資料となっています。戦後、元島民のうち150名が再びベインブリッジ島に戻りましたが、2011年時点でその数は限定的でした。

概要

2008年、日系人コミュニティは、900万ドルの予算でベインブリッジ島に記念施設を建設する計画を発表しました。これに伴い、連邦議会は施設をミニドカ国立歴史地区の一部として認める決議を行いました。翌年には、大規模な資金調達が将来の設置に向けて進められました。

この施設のうち、最初に設置されたのは『物語の壁』です。これは、当時島に住んでいた日系人276名の名前を刻むものであり、2009年3月30日に起工式が行われました。式典では、先述の林田がスピーチを行い、彼女自身の持つ記憶を共有する重要な場となりました。

壁は地元の建築家、ジョンポール・ジョーンズによって設計され、周囲の自然と調和した造りが採用されています。また、芸術家スティーブ・ガードナーが、フェリーターミナルで待機する日系人たちの姿を描いたフリーズも設置されました。彼はこのプロジェクトの意義を強く感じ、自身の思いを表現しました。この記念碑は、2011年7月30日に一般公開され、多くの訪問者が歴史を学ぶ場所となりました。

2022年、当時の大統領ジョー・バイデンは、大統領令9066号の発令から80年を迎える節目に、日系人への連邦政府の謝罪を強調する声明を発表しました。彼は「この国の歴史の中で最も恥ずべき章の一つである」と述べ、過去の過ちを繰り返さないことの重要性を確認しました。「二度とないように」という言葉で結び、日本国内の人種差別問題に向き合う決意を新たにしました。

関連項目

• - 日系アメリカ人の歴史
• - 追憶の日 (日系アメリカ人)
• - 空席の椅子の記念碑
• - 日系米国人退役軍人慰霊碑

この記念碑は、単なる歴史的な象徴にとどまらず、未来の世代に向けた教訓でもあります。過去を忘れず、今後も同様の過ちを繰り返さないという国全体の取り組みの一環として、重要な役割を果たしています。

もう一度検索