ベガス (1978年のテレビドラマ)

ベガス：ネオン輝く街の私立探偵物語

1978年から1981年にかけて、アメリカABC系列で放送されたテレビドラマ『ベガス』（原題：VEGA$）は、68話におよぶ人気シリーズとして、多くの視聴者を魅了しました。日本では1979年から日本テレビで放映され、その人気は日本でも広く知られるところとなりました。特に、第2シーズンは『ベガスII 私立探偵ダン・タナー』と題名を変えて放送され、多くのファンを掴みました。

ラスベガスを舞台にした痛快な捜査劇

物語の中心となるのは、私立探偵ダン・タナーです。彼は、ネオン輝くラスベガスの街を舞台に、様々な難事件に挑みます。事務所兼住居として使っているのは、改装された倉庫。そして彼の相棒ともいえる愛車は、鮮やかな赤の1957年型フォード・サンダーバード・カブリオレです。

タナーは、元ショーガールのビートリス（夫を亡くし、子供を持つ）、元こそ泥のビンザー、そしてアンジーといった個性豊かな仲間たちと共に事件を解決していきます。彼らを支えるのは、ラスベガス警察のネルソン警部。警察との協力体制も、事件解決には欠かせない要素となっています。

豪華キャストと話題の吹き替え

主演のダン・タナーを演じるのは、テレビドラマ『特別狙撃隊S.W.A.T.』や『私立探偵スペンサー』などでも知られるロバート・ユーリック。さらに、映画界の大スター、トニー・カーティスが、タナーに協力するカジノホテルのオーナー、フィリップ・ロス役でレギュラー出演したことも話題となりました。

日本の放送では、カーティス演じるフィリップ・ロス役の吹き替えを担当したのは、広川太一郎。彼の軽妙なアドリブは、まるでオリジナル版を観ているかのような錯覚を与え、話題を呼びました。これは、彼が以前担当した『ダンディ2 華麗な冒険』での吹き替えと同様の手法で、視聴者をさらに楽しませたと言えます。

なお、劇中に登場するフィリップ・ロスの経営するホテルは、当時ラスベガスに実在した「デザート・イン」をモデルにしています。

チャーリーズ・エンジェルとのクロスオーバー

興味深いことに、タナーは、人気テレビドラマ『地上最強の美女たち！チャーリーズ・エンジェル』のスペシャル版『エンジェル・イン・ベガス』にも出演しています。これは、両番組の製作総指揮が共にアーロン・スペリングであったこと、そして放送時期が近かったことが理由で実現したクロスオーバー作品です。

日本でも『ベガス』と『チャーリーズ・エンジェル』は、同じ系列局でほぼ半年置きに交互に放送されており、視聴者にとって馴染み深い組み合わせでした。そのため、このクロスオーバーは、両番組のファンにとって大きな喜びとなったと言えるでしょう。

主要登場人物

ダン・タナー: ロバート・ユーリック（吹替：潮哲也/南条弘二）
ビートリス・トラビス: フィリス・デービス（吹替：弥永和子）
ビンザー: バート・ブラバーマン（吹替：中尾隆聖）
アンジー・ターナー: ジュディ・ランダース（吹替：杉原未樹（第1シーズンのみ））
ベラ・アーチャー巡査部長: ナオミ・スティーブンス（吹替：麻生美代子（第1シーズンのみ））
デビッド・ネルソン警部: グレッグ・モリス（吹替：田中信夫）
フィリップ・ロス: トニー・カーティス（吹替：広川太一郎）
ハーロン・ビッグホース: ウィル・サンプソン（吹替：峰恵研）

スタッフ

製作総指揮：アーロン・スペリング、ダグラス・S・クレイマー
企画：マイケル・マン
音楽：ドミニク・フロンティア
放映局：ABC

主題歌

第2シリーズの主題歌「二つに一つ」は、南条弘二が歌い、作詞はなかにし礼、作曲・編曲は馬飼野康二が担当しました。

『ベガス』は、個性豊かなキャラクター、スリリングな展開、そして豪華なキャストとスタッフによって作られた、忘れがたいテレビドラマとして、今も多くの人の記憶に刻まれています。

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