ベスト・オブ・ベスト 郷ひろみのすべて

『ベスト・オブ・ベスト 郷ひろみのすべて』：郷ひろみ黄金期の軌跡

1976年6月21日、CBS・ソニーより発売された『ベスト・オブ・ベスト 郷ひろみのすべて』は、日本の音楽史に輝くアイドル歌手、郷ひろみの3枚目のベストアルバムです。前作『HIROMIC WORLD』から7ヶ月、ベストアルバムとしては『郷ひろみヒット全曲集』から約7ヶ月という短いスパンでのリリースは、当時の人気を如実に物語っています。

本アルバムは、それまでのシングル、アルバム曲の中から厳選された楽曲を、2枚組という豪華な仕様で収録。彼の音楽的進化と多様な魅力を余すことなく示した、まさに「ベスト・オブ・ベスト」の名にふさわしい内容となっています。

Disc 1は、郷ひろみの代表的なヒットシングルを網羅した構成。デビューシングル「男の子女の子」から始まり、「裸のビーナス」、「小さな体験」といった初期の代表曲に加え、「モナリザの秘密」、「魅力のマーチ」、「よろしく哀愁」といった、オリコンチャートを席巻した大ヒット曲がずらりと並びます。「愛への出発」「わるい誘惑」「君は特別」「花とみつばち」といった楽曲も収録され、彼の幅広い音楽性を示しています。さらに、シングルカップリング曲として「ふりむいた君」も収録されており、シングルだけでは知ることのできない魅力の一端も垣間見ることができます。「花のように 鳥のように」でディスク1は締めくくられています。

一方、Disc 2は、シングル曲以外にアルバム収録曲も収録。シングル曲に劣らぬ魅力を持つアルバムの人気曲を網羅しており、シングル・ヒット曲では味わえない、より深みのある郷ひろみの音楽世界を堪能できます。「恋の弱味」は、このアルバムで初めて収録された楽曲です。アルバムからの選曲では「雨にひとり」「青いリンゴ」「サンゴ礁の娘」「愛すべき僕たち」「君のおやじ」といった楽曲が収録され、彼の音楽的多様性を感じさせます。さらに、「夢みる頃をすぎて」「この愛はどうなる」「逢えるかもしれない」「20才の微熱」「誘われてフラメンコ」「バイ・バイ・ベイビー」といったシングル曲も収録。これらの楽曲は、彼のアイドルとしての魅力と、アーティストとしての深みを感じさせる選曲となっています。

特に注目すべきは、NET系列ドラマ『ちょっとしあわせ』の主題歌として使用された「よろしく哀愁」の収録でしょう。この曲は、郷ひろみの代表曲の一つであり、ドラマとのタイアップによって、さらに多くの人々に彼の音楽を届けるきっかけとなりました。

『ベスト・オブ・ベスト 郷ひろみのすべて』は、単なるベストアルバムという枠を超え、70年代の音楽シーンを彩った郷ひろみの魅力を凝縮した、まさに「集大成」ともいえる作品です。シングルヒット曲、アルバム収録曲のバランス、そして楽曲の選曲、すべてが彼の音楽的才能と人気の高さを証明しています。このアルバムは、郷ひろみを知る上でも、70年代の音楽史を知る上でも、非常に重要な一枚と言えるでしょう。当時を知る世代だけでなく、新しい世代にも、彼の魅力を伝える貴重な資料として、今後も長く愛され続けることでしょう。

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