ベスブ石

ベスブ石（vesuvianite）は、ケイ酸塩鉱物の一種で、その名は最初に発見されたイタリアのベスビオ火山に由来します。また、アイドクレーズ（idocrase）という別名も持ち、これはギリシャ語の「Eidos」（見かけ）と「Krasis」（混交）に由来し、結晶の形がジルコンなど他の鉱物と紛らわしいことにちなんで、ルネ＝ジュスト・アユイによって命名されました。

ベスブ石は、スカルンと呼ばれる変成岩中に見られる代表的な鉱物で、共生する柘榴石に外観が似ていることがあります。その化学組成は複雑で、含有する元素の種類や量によって、様々な色を示すことが知られています。これにより、数多くの別名が付けられてきました。例えば、銅を含むものはシプリン、ホウ素を含み、光学的性質が異なるものはウィルアイト（旧称：ビリュイ石）と呼ばれていましたが、これらのうちシプリンとウィルアイトは、現在では独立種として扱われています。

これらの鉱物を含むベスブ石グループは、2019年に定義され、現在では10種が認められています。しかし、これらの種は組成が非常に似ているため、詳細な分析を行わないと区別が難しいとされています。ベスブ石は、その多様な色合いと結晶形から、宝石としても利用されることがあります。

スカルンは、石灰岩などの堆積岩がマグマの熱によって変成作用を受けた際に形成される岩石で、ベスブ石の他に、柘榴石やその他のケイ酸塩鉱物などを含有することがあります。ベスブ石は、スカルン中の鉱物群の一つとして、地質学的な研究の対象となることもあります。

関連する項目としては、鉱物、ケイ酸塩鉱物、鉱物の一覧、そしてスカルンなどが挙げられます。ベスブ石についてさらに詳しい情報を得るためには、参考文献として『検索入門 鉱物・岩石』や『日本の鉱物』などが参考になります。また、外部リンクとして、ベスブ石に関するウェブサイト（Webmineral data、Mineral galleries、Mindatなど）も、詳細な情報や産地データを提供しています。

ベスブ石は、その複雑な化学組成と多様な外観から、鉱物学的な興味深い対象であり、研究者だけでなく、鉱物コレクターの間でも人気のある鉱物の一つです。その多様性は、自然界の複雑さと美しさを象徴していると言えるでしょう。ベスブ石のさらなる研究と発見が、これからも期待されます。

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