ジルコン

ジルコン (Zircon)

ジルコンは化学式ZrSiO4を持つ、ジルコニウムのケイ酸塩鉱物です。この鉱物は正方晶系に結晶化し、その美しい無色透明な外観からダイヤモンド類似石としても人気があります。別名としてヒヤシンス鉱、風信子鉱、風信子石などと呼ばれ、長い歴史を持つ鉱物です。

産出地

ジルコンは火成岩の中に微細な結晶として見られ、世界各地に分布しています。風化や変質に対する耐性が強いため、砂岩などの堆積岩中にも砕屑粒子として広く認められます。このような砂を特に「ジルコンサンド」と呼ぶことがあります。また、変成岩にも存在することがあります。特にオーストラリアのジャックヒルズでは、地球上で最も古い鉱物の一つとしてジルコンが発見されており、これは地球の歴史を学ぶ上で重要な証拠となっています。

性質・特徴

ジルコンは通常、ZrSiO4の化学組成を持ち、比重は3.9から4.7で、モース硬度は7.5という硬さを示しています。純粋なものは無色ですが、不純物や結晶欠陥の影響により様々な色に着色されることがあります。ジルコニウムは周期表の第4族元素に属し、同じく第4族元素のハフニウムと似た性質を持っています。地殻中ではジルコニウムが多く見られる一方で、ハフニウムも分布しています。このため、いくつかの鉱物ではジルコニウムの一部がハフニウムによって置き換えられることがあります。ハフニウムが多い鉱物は「ハフノン」と呼ばれています。

さらに、天然のジルコンは希土類元素やウラン、トリウムなどを微量含有していることがあり、特にウランやトリウムが多い場合、これらの元素の崩壊によって発生した放射線によりメタミクト化が起きることがあります。

用途・加工法

ジルコンはウランやトリウムを多く含むため、年代測定に関しては非常に重要な鉱物です。ウラン・鉛法やトリウム・鉛法、さらにフィッショントラック法を用いた年代測定にも活用されています。これにより、地球の歴史が解明される手助けとなっています。また、無色のダイヤモンド類似石として、古くから装飾用とされ、今でも宝石市場で人気があります。ただし、注意が必要なのは、合成のキュービックジルコニアはその組成が異なります。

ジルコングループ

ジルコンにはいくつかの関連鉱物があり、それらはジルコングループとして知られています。主なものには以下のものがあります。

• - ハフノン - HfSiO4
• - ステティン石 - Ce4+SiO4
• - トール石 - ThSiO4
• - トロゴム石 - Th(SiO4)1-x(OH)4x
• - ジルコン - ZrSiO4

参考文献

この情報は、豊遙秋・青木正博の著作や日本産鉱物型録、鉱物分類図鑑などの研究書に基づいています。それぞれの文献が、鉱物学の理解を深める上で貴重な資料です。ジルコンに関する知識は、地質学や鉱物学の分野での研究や実践において重要な役割を果たしています。この鉱物の特異性や多彩な用途についての理解は、古代から現代にわたる地球の歴史を探求する上で欠かせない要素です。

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