ベタ画像

ベタ画像とは？

ベタ[画像]]は、画像の高さ、幅、色深度などのメタデータを持たない、ピクセルデータのみからなるシンプルな画像データ形式です。画像データは、通常、画面左上隅のピクセルから始まり、赤]、[緑]、[青]の順に、各色1バイト(0～255)の値が連続して記録されます。例えば、640×480[[ピクセルの画像であれば、データサイズは640 × 480 × 3 = 921,600バイトとなります。

この単純な構造のため、画像の表示には、事前に画像のサイズなどの情報を別途指定する必要があります。データサイズから画像サイズを推測することも可能ですが、効率的とは言えず、このことがベタ画像が次第に廃れていった要因の一つと言えるでしょう。

歴史と背景

ベタ画像は、コンピュータグラフィックス黎明期において、特に高度なCG技術の研究者コミュニティにおいて広く利用されていました。複雑なエンコードを必要としないシンプルな形式であるため、リアルな3次元コンピュータグラフィックスや、レイトレーシングによる画像生成などの研究成果を容易に共有する手段として重宝されました。

しかし、画像のサイズやアスペクト比などの情報を保持していないため、画像を表示する際には、これらの情報を別途管理する必要があり、不便さが課題でした。そのため、よりメタデータの管理が容易な画像形式が普及するにつれて、ベタ画像の利用は減少していきました。

MS-DOSの時代には、拡張子「.RAW」で保存されることがありましたが、現在デジタルカメラなどで使用されているRAW画像とは全く異なるフォーマットです。デジタルカメラのRAWデータは、ベタ画像とは異なり、画像の撮影条件に関するメタデータを含んでいるため、画像処理ソフトで容易に編集が可能です。

PC-9800シリーズにおいては、VRAMのビットマッププレーンをそのまま保存したデータ形式も「ベタ画像」と呼ばれていた時期があります。これは、RGBEの1プレーン32,000バイトを、それぞれ4つのファイルに分けて保存するというものでした。

ベタ画像とRAW画像の違い

ベタ画像とデジタルカメラで使われるRAW画像形式は、どちらも「RAW」という名称を含むことがあるため混同されがちですが、全く異なるものです。

ベタ画像: ピクセルデータのみで構成され、画像のサイズや色深度などの情報は含まない。メタデータの欠如が大きな特徴。
デジタルカメラのRAW画像: 画像データに加え、ISO感度、シャッター速度、絞り値などの撮影情報を含むメタデータも保存される。画像編集ソフトでこれらの情報を活用して画像処理を行うことが可能。

まとめ

ベタ画像は、そのシンプルな構造ゆえに黎明期のCG研究において重要な役割を果たしましたが、メタデータの欠如という問題点から、現在ではほとんど使用されなくなっています。現代の画像処理においては、メタデータを含むより高度な画像形式が主流となっています。ベタ画像の歴史を知ることで、現代の画像技術の発展をより深く理解することができるでしょう。

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