ベッチン

別珍（ベッチン）は、ヨコ糸パイルの比較的毛足の短いパイル織物の一種で、綿ビロードとも呼ばれる添毛素材です。18世紀にフランスで生まれ、ベルベットを模して綿で作られました。

特徴

別珍とベルベットの主な違いは、パイルの方向にあります。ベルベットは縦パイルをカットして作られるのに対し、別珍は横パイルをカットして毛羽を立てるのが特徴です。この製法の違いが、独特の手触りと光沢を生み出します。

日本へは明治時代に伝来し、当初は別珍足袋の素材として知られるようになりました。大正時代には防寒用の足袋が流行し、広く普及しました。

別珍は、パイル糸をカットすることで生まれる毛羽が、柔らかく厚手の光沢のある風合いを作り出しています。この特性から、帽子やスカジャンなど、ファッションアイテムによく用いられます。また、高級感のある見た目から、印鑑や貴金属、指輪などの高級品を収納するケースにも利用されています。

お手入れ

毛羽立っているため、静電気を帯びやすくゴミが付着しやすいというデメリットがあります。しかし、布用ブラシで優しく払ったり、セロハンテープを軽く貼り付けて剥がすことで、比較的簡単に取り除くことができます。

生産地

現在、日本国内で流通している別珍の95%以上が、静岡県磐田市（旧・磐田郡福田町）で製造されています。地域産業として、その技術と伝統が受け継がれています。

関連情報

別珍と似た素材に、畝（うね）のあるコーデュロイがあります。どちらもパイル織物ですが、表面の形状が異なります。

関連項目

ベルベット
コーデュロイ

外部リンク

天龍社織物工業協同組合
ベルベット・ベロア・別珍とは? - 東京都クリーニング生活衛生同業組合

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