ベトちゃんドクちゃん

ベトちゃんドクちゃんについて

ベトちゃんドクちゃんは、1981年2月25日にベトナムで生まれた結合双生児の兄弟です。兄はグエン・ベト（Nguyễn Việt）、弟はグエン・ドク（Nguyễn Đức）と名づけられ、彼らの存在は日本や世界中で広く知られることとなりました。彼らの誕生の背景には、ベトナム戦争での枯葉剤の散布があるとされています。

出生と家族

彼らはベトナム中部のコントゥム省で生まれました。母親であるラム・ティ・フエは、戦後すぐに枯葉剤が散布された地域に移住し、農業を営んでいました。ベトちゃんとドクちゃんが生まれた地域は、この戦争の影響を深く受けており、出生時から南ベトナム解放民族戦線に対抗して散布された有害物質の影響が懸念されていました。

両親は2人をコントゥム病院に預けた後に離婚し、兄弟は幼少期を病院で過ごします。彼らが後にベト（越南）とドク（徳国）の名を与えられたのは、ハノイでの生活の中ででした。

日本での支援活動

特に日本では、ベトちゃんとドクちゃんはベトナム戦争の影響を象徴する存在として、様々な支援を受けました。1985年には「ベトちゃんとドクちゃんの発達を願う会」が結成され、募金活動が盛んに行われました。支援により2人には車椅子が贈られるなどしました。

しかし、1986年にはベトが急性脳症を発症し、日本に緊急移送され手術を受けますが、その後も後遺症に悩まされることとなります。

分離手術とその後

1988年には、ベトが意識不明となったことを受けて、2人はホーチミン市立トゥーズー病院で分離手術を受けることになりました。この手術には、日本の医師団も参加し、非常に高度な医療が提供されました。この手術は17時間にも及び、無事成功しましたが、ベトには左足、ドクには右足が残される結果となります。

分離後、ドクは学校へ通い、プログラミングを学んで中学校を卒業します。やがてトゥーズー病院で事務員として働きながらも、ボランティア活動を行うなどして積極的な生活を送ります。一方、ベトは重度の脳障害を抱え、寝たきりの状態が続きました。

結婚と家族

両兄弟はそれぞれの道を歩みますが、ドクは2006年にボランティア活動を通じて知り合った女性と結婚します。この結婚は、日本でも話題となりました。結婚後は兄ベトを引き取り、夫婦で介護を行っていたとされています。

その後の活動と支援

ドクは2020年に日本に不織布マスクを寄付し、地域の高齢者施設や学校などに無償で配布しました。また、2019年にはホーチミン市に飲食店を開業したものの、体調不良により閉店を余儀なくされました。

影響と枯葉剤の問題

ベトちゃんドクちゃんが生まれた背景には、ベトナム戦争時に大量に使われた枯葉剤が関わっています。この枯葉剤に含まれていたダイオキシン類は、出生時の奇形の原因とされる可能性がありますが、実際には人間における奇形の直接な証拠は2021年時点でも確認されていません。

結合双生児の発生は非常に稀ですが、ベトナムでは戦争の影響により、他にも事例が続出したことが報告されています。ベトちゃんドクちゃんの存在は、戦争がもたらす影響という難しい課題を私たちに投げかけるものであり、彼らの物語は多くの人々に感動と考えを与えています。

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