ベネラ-D

ベネラD：ロシアの新たな金星探査計画

ロシア連邦は、2025年の打ち上げを目指し、金星探査機『ベネラD』計画を推進しています。この計画は、ソ連時代の金星探査機『ベネラ』シリーズの系譜を受け継ぎつつ、最新の技術を導入した、ロシアにおける新たな金星探査の取り組みとして注目を集めています。

探査計画の概要

ベネラD計画の主要な目的は、金星大気と地表の精密な観測です。当初は、1980年代の『ベネラ15号』『16号』やアメリカのマゼラン探査機と同様に、金星を周回しながらレーダーを用いたリモートセンシング観測を行うことが構想されていました。ベネラDではより高性能なレーダーを搭載することで、より詳細な観測データの取得を目指しています。

周回機による観測と並行して、高性能な着陸機による地表探査も計画されています。この着陸機は、ソ連時代のベネラ探査機の設計をベースに、金星の極めて過酷な環境、すなわち、灼熱の高温と高圧の大気下でも長期間にわたって運用できるよう設計されています。ソ連時代の探査機が達成した1時間半以上の稼働時間を大幅に超える運用期間を目指しているとのことです。

得られた観測データは、金星地表の高解像度地図作成に利用され、将来的な着陸地点の選定にも役立てられる予定です。

技術的特徴

ベネラDは、ソビエト連邦崩壊後、ロシアが初めて打ち上げる金星探査機となります。また、ロシアの次世代金星探査計画におけるフラグシップ機の位置付けであり、その成功は今後の金星探査の進展に大きく影響するでしょう。

研究開発コストの削減を目的として、機体設計においてはソ連時代の探査機と類似した部分が多く見られます。しかし、ベガ1号・ベガ2号以降に開発された最新の技術も積極的に取り入れられており、信頼性と探査能力の向上が期待されています。

打ち上げロケットは、主にプロトンロケットが予定されていますが、より強力なアンガラロケットによる打ち上げも検討されているようです。

計画の意義

ベネラD計画は、金星探査におけるロシアの技術力と探査意欲を示す重要なプロジェクトです。金星は地球と多くの共通点を持つ惑星でありながら、その表面環境は極めて異なっています。ベネラDによる探査は、金星の成因や進化過程の解明、ひいては地球環境の理解にも大きく貢献すると期待されています。

長らく金星探査から遠ざかっていたロシアが、ベネラD計画を通して再び金星探査の最前線に復帰しようとしています。この計画の成功は、今後の国際的な金星探査競争において、ロシアの重要なプレゼンスを示すこととなるでしょう。

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