ベモ (鉄道模型)

ベモ（BEMO）―スイスの狭軌鉄道を忠実に再現するドイツの鉄道模型メーカー

ベモ（BEMO Modelleisenbahnen GmbH & Co. KG）は、ドイツ南部バーデン＝ヴュルテンベルク州シュトゥットガルト近郊のウーヒンゲンに拠点を置く、鉄道模型メーカーです。主にスイスのレーティッシュ鉄道など、狭軌（ナローゲージ）鉄道の車両をHOスケールで製造することで知られています。社名は、発音と表記のバランスがとれたアルファベットの組み合わせから名付けられました。

歴史：小さな会社から専門メーカーへ

ベモは1976年、レーヴァ社の元従業員であるハラルト・ゲーベルによって創業されました。最初の製品は750mm軌間のディーゼル機関車でしたが、初期の経営は安定していませんでした。その後、旧レーヴァ社製品の販売や、M+F社からのナローゲージ製品を引き継ぐなど、試行錯誤を繰り返しました。

転機となったのは、スイスのレーティッシュ鉄道の車両をHOスケールで製品化したことです。これにより、ドイツのみならずスイスでも高い人気を獲得、事業は拡大しました。創業者のゲーベル氏の逝去後、一時経営は悪化しますが、1994年にフランツ・ゲオルク・フォルシュテンアイヒナー氏が加わると、金型を有効活用したバリエーション展開により、再び業績を回復させました。1990年代からは、カタログを補完する小冊子「ベモポスト」を発行するなど、積極的に情報発信も行っています。

製品：精密さとバリエーションの豊富さ

ベモの製品は、その精密さとバリエーションの豊富さで知られています。

車両

ベモは、1000mm軌間（メーターゲージ）の車両には軌間12mm（H0m）、750mm軌間の車両には軌間9mm（H0e）を採用しています。レーティッシュ鉄道の車両を中心に、フルカ・オーバーアルプ鉄道、マッターホルン・ゴッタルド鉄道など、スイスのメーターゲージ鉄道の車両を数多く製品化してきました。

近年は、スイス以外の地域、例えばドイツのバーデン＝ヴュルテンベルク州やザクセン州の狭軌鉄道の車両、さらにはドイツ鉄道の標準軌路線の気動車なども製品化しており、その対象は広がりを見せています。

車両は、射出成形によるプラスチック製が基本ですが、機関車などの動力車にはダイカスト成形による亜鉛合金製のパーツを使用し、高い耐久性と精密さを両立させています。さらに、ホワイトメタル製の蒸気機関車やブラスモデルといったキット製品も「メタルコレクション」として展開しています。

線路

線路は、道床なしの組み立て式線路とフレキシブル線路をラインナップしています。

ベモのこだわり：精密さと実車への忠実性

ベモの製品は、単なる模型ではなく、実車を忠実に再現することに力を入れていることが特徴です。細部までこだわった設計と、高品質な素材の使用により、高い完成度を実現しています。また、自社で設計を行いながらも、金型製作などは外注することで、効率的な生産体制を確立しています。本社工場では、組み立て、塗装、印刷といった仕上げの工程に注力することで、製品クオリティの維持に努めています。

ベモは、ニッチな市場ながら、高い技術力と情熱で、長年にわたり鉄道模型ファンを魅了し続けています。今後も、精密で魅力的な製品を送り出し続けることに期待が寄せられます。

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