レーティッシュ鉄道

レーティッシュ鉄道：スイスを代表する山岳鉄道

レーティッシュ鉄道（RhB）は、スイス東部のグラウビュンデン州を中心に路線網を持つ、スイス最大の私鉄です。その路線は約400kmに及び、サンモリッツやダヴォスなど、世界的に有名なリゾート地を結んでいます。

概要

レーティッシュ鉄道は、観光路線としてだけでなく、地域の生活路線としても重要な役割を果たしており、旅客・貨物輸送の両面でグラウビュンデン州の鉄道輸送をほぼ一手に担っています。州の経済においても、欠かせない存在です。

アルブラ線の一部とベルニナ線は、「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」としてユネスコの世界遺産に登録されています。この世界遺産は、鉄道と景観が一体となった文化的景観として高く評価されています。

歴史

レーティッシュ鉄道は、1889年にラントクアルト-ダヴォス鉄道として開業しました。その後、グラウビュンデン州内の路線を拡大し、1895年に現在の社名に変更。1897年には州営化され、さらなる発展を遂げました。

第一次世界大戦後の石炭価格高騰を機に、交流11kV16.7Hzでの電化が進められました。これは、トンネル断面が小さいため、絶縁上の問題から低い電圧を採用したためです。その後、クール-アローザ鉄道やベルニナ鉄道などを合併し、グラウビュンデン州の鉄道網を統合しました。

特徴

レーティッシュ鉄道は、ループ線やトンネルを多用することで、急勾配を克服しています。ラック式鉄道に頼らず、粘着式鉄道として運行しているのが特徴です。これにより、長大編成の列車を運行することが可能となり、主要路線の各駅では約260 - 300mの有効長が確保されています。

主な路線

アルブラ線： クールとサンモリッツを結ぶメインルート。氷河急行やベルニナ急行が運行。
ベルニナ線： サンモリッツからベルニナ峠を越え、イタリアのティラーノに至る路線。ベルニナ急行が運行。
オーバーランド線： ライン川沿いを遡り、マッターホルン・ゴッタルド鉄道に接続する路線。氷河急行が運行。
エンガディン線： エンガディン地方を走る路線で、美しい景観が楽しめます。
クール-アローザ線： クール市内を併用軌道で走り、リゾート地アローザへ向かう路線。

観光

レーティッシュ鉄道は、観光客に人気の高い路線です。特に、以下の列車は有名です。

氷河急行： スイスを代表する観光列車。ツェルマットからサンモリッツまで、約8時間をかけてアルプスを横断します。
ベルニナ急行： サンモリッツからティラーノまで、ベルニナ峠を越える絶景路線を走ります。

これらの列車は、美しい沿線風景を眺めながら、快適な旅を楽しめることで人気を集めています。

車両

レーティッシュ鉄道は、様々な種類の車両を保有しています。電気機関車、電車、客車、貨車など、用途に合わせた車両が活躍しています。特に、以下の車両は有名です。

Ge6/6I形電気機関車（レーティッシュ・クロコダイル）： 凸型の愛らしい外観が特徴の電気機関車。現在も特別列車などで活躍しています。
* ABe8/12形電車（アレグラ）： 本線系統とベルニナ線で共用可能な、高性能な電車。

姉妹鉄道

レーティッシュ鉄道は、日本の箱根登山鉄道（現：小田急箱根）と姉妹鉄道提携を結んでいます。これは、ベルニナ線の建設が箱根登山鉄道の建設に影響を与えたことが縁となっています。

まとめ

レーティッシュ鉄道は、美しいアルプスの景観の中を走る、スイスを代表する山岳鉄道です。観光路線としてだけでなく、地域の生活路線としても重要な役割を果たしており、グラウビュンデン州の経済を支える存在です。世界遺産にも登録されたその美しい景観を、ぜひ一度体験してみてください。

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