ベラルーシの大統領

ベラルーシ大統領について

ベラルーシの大統領は、ベラルーシ共和国の元首であり、国家を代表する重要な役職です。1994年の憲法制定に伴い設立され、内政や外交の遂行、国民の権利保護、憲法遵守の責任を担います。憲法には、大統領の義務や責任が第3章79条から89条に詳細に規定されています。

歴史的背景

ベラルーシは、1918年にベラルーシ人民共和国として独立を宣言しましたが、その政府は短命に終わり、1919年にはソビエト赤軍によって亡命を余儀なくされました。その後、1922年に白ロシア・ソビエト社会主義共和国としてソビエト連邦に組み込まれました。1991年のソビエト連邦崩壊に伴い、ベラルーシは独立を宣言し、現在のベラルーシ共和国が誕生しました。

独立当初は、最高会議議長が国家元首、首相が政府元首でしたが、1994年の憲法制定によって大統領制が導入されました。これにより、首相の役割は縮小し、最高会議議長は1996年に廃止されました。

初代大統領にはアレクサンドル・ルカシェンコが選出され、現在に至るまで、彼が唯一の大統領経験者です。過去の選挙では、公正さを疑問視する声も上がりましたが、ルカシェンコ大統領は再選を重ね、その地位を維持しています。

選出方法

立候補資格

ベラルーシ大統領に立候補するためには、以下の条件を満たす必要があります。

35歳以上の生粋のベラルーシ人であること。
10年以上ベラルーシ国内に居住していること。
合法的に投票権を持っていること。

選挙

大統領選挙は5年に1度、国民投票によって実施されます。選挙権は18歳以上の国民に与えられます。

立候補者は、まず100人以上の後援会を組織し、中央選挙管理委員会に登録する必要があります。その後、10万人以上の有効な署名を集めることが求められます。これらの条件を満たした候補者のみが、大統領選挙に正式に出馬できます。

投票は無記名で行われ、全有権者の50%以上が投票した場合に選挙が成立します。もし、最初の投票で過半数の得票を得た候補者がいない場合は、上位2名による決選投票が2週間以内に行われます。

大統領が任期途中で欠けた場合、次期大統領の選挙は欠員発生後30日から70日以内に行われる必要があります。また、任期満了に伴う選挙は、任期満了の2ヶ月前までに行う必要があります。

大統領の権限と義務

ベラルーシ大統領は、憲法に基づいて広範な権限と義務を有しています。

国民投票の実施
議会（下院・上院）および地方選挙の実施
憲法の範囲内での議会解散
首相の任命と政府組織の決定
法案への署名または拒否権の行使
副首相や大臣、最高裁判所長官などの人事
軍の最高指揮官として、国土防衛の責任
災害や騒乱時の非常事態宣言
安全保障会議の議長

大統領は、国家の安全と国民の福祉を守るために、これらの権限を行使します。

就任宣誓

大統領は選挙結果確定後2ヶ月以内に、就任宣誓を行う必要があります。

罷免

大統領は、以下の理由により罷免される可能性があります。

自らの意思による辞任
心身の健康上の問題
* 重大な犯罪行為

罷免には、議会両院での3分の2以上の賛成が必要であり、その手続きは憲法に厳格に定められています。

大統領の特権

大統領は、反逆罪などの重大な犯罪を除き、逮捕を免除される特権を持っています。また、大統領の名誉や尊厳は法律によって保護されており、名誉を傷つける報道は違法とされます。

大統領官邸と大統領旗

大統領官邸は首都ミンスクの10月広場にあり、周辺は厳重に警備されています。また、大統領は独立宮殿も使用することができます。大統領旗は、国家元首の象徴として使用されています。

まとめ

ベラルーシ大統領は、国のトップとして重要な役割を担っています。その選出方法、権限、義務は憲法によって詳細に規定されており、ベラルーシの政治体制の中核をなしています。初代大統領であるアレクサンドル・ルカシェンコ氏が長年務めており、その動向は国内外から注目されています。

もう一度検索