ベラルーシ共和国憲法

ベラルーシ共和国憲法

ベラルーシ共和国憲法は、ベラルーシの根本法であり、国の統治機構と国民の権利・自由を定めています。1994年に制定されて以来、複数回の改正が行われ、その内容は大きく変化してきました。

沿革

ベラルーシにおける最初の憲法は、ソビエト連邦時代の1919年に制定されました。その後、1927年、1937年、1978年と憲法が制定・改正されましたが、これらはソビエト連邦憲法の変更に対応するためのものでした。

1991年のソ連からの独立後、ベラルーシは新たな憲法を起草。1994年3月15日に現行憲法が制定されました。制定後、1996年、2004年、2022年の3回にわたり改正が行われ、大統領の権限強化や多選制限の撤廃などが盛り込まれました。

構成と内容

現行憲法は、前文と9つの部（セクション）、146の条項で構成されています。政府の機能や権限を定める規定が多く、国民の権利・自由については第2部で詳細に規定されています。憲法では、権力分立が定められ、立法・行政・司法の三権は分立しつつも、国民に奉仕するために協働することが求められています。

前文: 国家としての使命、普遍的価値の堅持、国民の権利と自由の尊重を宣言。
第1部: 憲法制度の原則を規定。民主主義、法の支配、国際法遵守などを定める。
第2部: 国民の権利と自由を規定。生存権、平等権、自由権、社会権などを保障。
第3部: 選挙制度と国民投票について規定。
第4部: 大統領、議会、政府、裁判所の権限を規定。統治機構の根幹を定める。
第5部: 地方政府と自治について規定。
第6部: 検察と国家監察委員会について規定。
第7部: 財政と金融制度について規定。
第8部: 憲法の効果と改正について規定。
第9部: 附則、経過規定

改正

ベラルーシ憲法は、これまでに3回の改正が行われています。

1996年改正: 大統領の権限を大幅に強化し、二院制議会を導入。
2004年改正: 大統領の多選制限を撤廃。
* 2022年改正: 核兵器の配備を容認し、全ベラルーシ人民会議を最高代表機関として規定。

これらの改正は、国民投票によって承認されましたが、野党勢力や選挙監視団体からは、透明性の欠如や不正行為の疑いが指摘されています。

批判

ベラルーシ憲法の改正は、国内外から批判を受けています。特に、大統領の権限強化や多選制限の撤廃は、民主主義の後退を招くものとして懸念されています。また、国民投票の実施方法や結果についても、透明性や公正さに疑問が呈されており、国際的な監視団体からは改善を求める声が上がっています。

まとめ

ベラルーシ共和国憲法は、国の基本法として重要な役割を果たしていますが、その改正過程や内容については、様々な意見や批判が存在します。今後の憲法改正や運用においては、民主主義的な原則や国際的な基準に沿った形で行われることが望まれます。

もう一度検索