ベルジャーンシクの戦い

ベルジャーンシクの戦い

2022年、ロシアによるウクライナ侵攻における南部攻勢の中で、ベルジャーンシクを巡りロシア軍とウクライナ軍の間で激しい戦闘が発生しました。この戦いは、マリウポリ包囲戦を支援するために南下するロシア軍が、アゾフ海北岸の重要な港湾都市であるベルジャーンシクを占領したことに端を発します。しかし、ウクライナ軍もその後、長距離兵器を用いた反撃に転じ、ベルジャーンシクに駐留するロシア軍に対して攻撃を加えています。

戦闘の経過

ロシア軍はメリトポリを占領後、北東のトクマクを包囲し、その後、ウクライナ東部への攻勢を強めるべく、ドネツク人民共和国からマリウポリへと進軍を開始しました。その過程で、ロシア軍はベルジャーンシクに向けて東進し、同市の制圧を試みました。

2月26日、ロシア軍はベルジャーンシク港とベルジャーンシク空港を制圧。翌27日には、ロシア国防省がベルジャーンシクを包囲したと発表しました。同日夕方にはロシア軍が市内に入り、夜には市長がロシア軍によって全ての行政庁舎が制圧されたことを発表しました。また、市内でロシア軍のブークミサイルシステムが確認されています。

2月28日、ザポリージャ州地域当局は、ロシア軍がベルジャーンシクを完全に制圧し、市警察は解散、市当局はロシア軍への協力を拒否したと発表。ロシア国防省も同市を掌握したことを認めました。この戦闘で、地元当局の発表によると、1名が死亡、1名が負傷しました。

ロシア軍による占領後

ベルジャーンシク市長によると、ロシア軍は2月28日にベルジャーンシクを去りましたが、ロシア憲兵隊の一部が市内に残ったとされています。ロシア軍はその後、マリウポリへ向かい包囲を開始しました。マリウポリの制圧により、ヘルソン方面へ進軍するロシア軍部隊は、クリミア半島とドネツク人民共和国を結ぶ陸路を確立しました。

ウクライナ軍による長距離攻撃

2022年3月24日、ウクライナ軍はベルジャーンシク港を攻撃し、入港していたロシア海軍の揚陸艦1隻を撃沈しました。さらに、2023年5月21日には、ウクライナ軍はベルジャーンシクに駐留するロシア軍本部を攻撃し、損害を与えたと発表しました。ロシア軍は、この攻撃に英国製の巡航ミサイル「ストームシャドー」が使用されたと主張しています。

ベルジャーンシクの戦いは、ロシアのウクライナ侵攻における南部戦線での重要な戦いの一つであり、両軍の激しい攻防が繰り広げられました。この戦いを通じて、ロシア軍が一時的に優位に立ったものの、ウクライナ軍による反撃も行われ、戦況は流動的であることが示されました。

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