ベルトルト・ゴルトシュミット

ベルトルト・ゴルトシュミット

ベルトルト・ゴルトシュミット（1903年1月18日 - 1996年10月17日）は、ドイツに生まれ、ナチスによる迫害を逃れてイギリスに亡命し、生涯の大半を同地で過ごしたユダヤ系作曲家です。

生涯と音楽活動

ゴルトシュミットはハンブルクで生を受けました。若い頃はハンブルク大学で哲学を学びましたが、イタリアの作曲家フェルッチョ・ブゾーニからの強い勧めを受け、音楽の道を志すことになります。1922年、彼はベルリン大学でフランツ・シュレーカーの作曲クラスに入門し、エルンスト・クルシェネクやアロイス・ハーバといった後の著名な作曲家たちと同門として学びました。作曲のみならず指揮法も習得し、フリーランスの指揮者としてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮台にも立ちました。作曲家としては、1925年に発表した『オーケストラのためのパッサカリア』で最初の成功を収め、ヴァイマル共和政期における最も有望な若手の一人と見なされるようになりました。そのキャリアは、1932年に発表されたオペラ『堂々たるコキュ』で一つの頂点を迎えます。

迫害と亡命

しかし、ナチス国家社会主義ドイツ労働者党が政権を掌握すると、ユダヤ系であるゴルトシュミットの生活と芸術活動は一変します。多くのユダヤ人芸術家と同様、「退廃音楽」の烙印を押され、その作品の演奏は禁止され、指揮者としての活動も妨げられました。この深刻な状況を受け、彼は1935年に故国ドイツを離れ、イギリスへの亡命を余儀なくされます。ドイツ時代には、「ピアノソナタ第1番 作品10」や「弦楽四重奏曲第1番」といった重要な作品を残しました。

イギリスでの不遇と沈黙

第二次世界大戦中、ゴルトシュミットはBBCのドイツ語放送部門で音楽監督を務めました。戦後もイギリスに留まり、指揮活動を続ける傍ら、『交響的シャコンヌ』や『ヴァイオリン協奏曲』、『チェロ協奏曲』、『クラリネット協奏曲』、そしてオペラ『ベアトリーチェ・チェンチ』など、精力的に作曲活動を続けました。しかし、彼の作品は残念ながら広く受け入れられることはなく、音楽界から無視される状況が続きました。この厳しい現実に直面し、ゴルトシュミットは1958年についに作曲の筆を折る決断をします。

その後、彼はイギリスの音楽学者であるデリック・クックが進めていたグスタフ・マーラーの『交響曲第10番』の補筆作業に、およそ6年間にわたり協力しました。そして、1964年8月13日にBBCプロムスで行われたクック版の世界初演では、自らタクトを振りました。

晩年の再評価

長い沈黙の時を経て、晩年になりゴルトシュミットの独特な音楽語法と作品への関心が再び高まり始めました。これにより、彼の作品が演奏される機会が増加します。こうした状況に後押しされ、ゴルトシュミットは1982年から再び作曲活動を再開しました。晩年の再評価は、彼が長年受けた不遇な状況を乗り越え、再び音楽の世界でその存在を示す機会となりました。

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