ベルナルド・ダッディ

ベルナルド・ダッディ（Bernardo Daddi, 1280年頃 - 1348年）は、ルネサンス初期のイタリア、フィレンツェで活躍した画家です。ジョットの弟子であり、その作風は師の影響を強く受けていますが、同時にシエナ派のロレンツェッティ兄弟からも影響を受けている点が特徴的です。

生涯

ダッディの出生日は正確には分かっていません。記録に最初に名前が登場するのは1312年で、この頃から宗教的なテーマの祭壇画を主に手掛けていたことが伺えます。1328年には、代表作の一つである三連祭壇画を制作し、この作品は現在ウフィツィ美術館に所蔵されています。また、ワシントンのナショナル・ギャラリーやボルチモアのウォルターズ美術館にも、彼のパネル画がいくつか所蔵されており、その作品は世界中で高く評価されています。

ダッディは同世代のフィレンツェ派画家の中でも重要な存在であり、その作品は当時のフィレンツェの美術様式をよく表しています。彼の作品は、ジョットの写実的な表現を受け継ぎながらも、独自の繊細さと優美さを兼ね備えています。ダッディの没年は1348年とされており、遺作は1347年に着手されたものとされています。これは彼の人生の終焉を物語る貴重な情報です。

作品

ダッディは生涯にわたり、数多くの宗教画を制作しました。以下に代表的な作品をいくつか紹介します。

聖セバスティアヌスの受難（1324年、確証はなし）
この作品は、聖セバスティアヌスの殉教を描いたもので、初期のダッディの作品として知られています。ただし、確証はないとされています。

2人の聖者と聖母、またはオンニサンティ三連祭壇画（1328年）
ダッディの代表作の一つで、聖母子と二人の聖人が描かれています。ウフィツィ美術館に所蔵されており、彼の画風をよく示す作品として高く評価されています。

聖ウルスラ（1333年）
聖ウルスラを題材とした作品で、彼女と彼女に従う処女たちの物語が描かれています。この作品は、ダッディの繊細な筆致が際立っています。

聖母子（1335年）
聖母子像は、ダッディが繰り返し描いたテーマの一つです。彼の描く聖母子像は、優美で親密な雰囲気が特徴的です。

聖母の結婚（1336年 - 1340年）
聖母マリアと聖ヨセフの結婚を描いた作品で、当時の結婚の儀式を垣間見ることができます。ダッディの物語性豊かな表現が特徴です。

サン・パンクラツィオ教会の多翼祭壇画（1336年 - 1340年）
サン・パンクラツィオ教会のために制作された祭壇画で、複数のパネルから構成されています。この作品は、ダッディの画力の高さを示すとともに、彼の宗教観を反映しています。

ダッディの作品は、ルネサンス初期のフィレンツェ美術を理解する上で欠かせないものです。彼の絵画は、宗教的なテーマを扱いながらも、人間味あふれる表現が特徴で、見る者に深い感動を与えます。ジョットの弟子として出発し、シエナ派の影響も受けながら独自のスタイルを確立したダッディの作品は、今もなお多くの人々に愛されています。

まとめ

ベルナルド・ダッディは、ルネサンス初期のフィレンツェ派を代表する画家の一人であり、ジョットの弟子としてその影響を受けつつも、独自の画風を確立しました。彼の作品は、宗教的なテーマを扱いながらも、人間的な温かみと繊細さを兼ね備えています。ダッディの生涯と作品を通して、初期ルネサンス美術の奥深さを感じ取ることができるでしょう。

もう一度検索