ベルナーオーバーラント鉄道

スイスの美しいベルナーオーバーラント地方に位置するベルナーオーバーラント鉄道（ドイツ語: Berner Oberland Bahn、略称BOB）は、この地域の主要な観光拠点であるインターラーケン・オスト駅を発着する重要な登山鉄道です。全長は23.6キロメートルに及び、アルプスの壮大な景色の中を走り抜けます。

路線と運行の特徴

ベルナーオーバーラント鉄道は、軌間1000ミリメートルのメーターゲージを採用しています。路線の随所に存在する急勾配区間では、安全運行のためにリッゲンバッハ式のラックレールが敷設されています。これにより、最大120パーミルという大変急な坂道でも安定した走行が可能です。この鉄道の運行上、特筆すべきは、中間駅であるツヴァイリュッチーネン駅での列車の分割・併合です。

インターラーケン・オスト駅から出発した列車は、この駅でラウターブルンネン方面行きとグリンデルヴァルト方面行きの編成に切り離されます。逆に、両方面からインターラーケン・オスト駅へ向かう列車は、この駅で再び連結されます。そのため、BOBに乗車される際は、必ずご自身の目的地に対応した車両に乗車しているか、車内外の行先表示などで確認する必要があります。この分割・併合作業は、BOBで運行されるほとんどの列車で行われています。

ツヴァイリュッチーネンで二つに分かれる路線は、いずれもヴェンゲルンアルプ鉄道などを経由して、アルプス観光の中心地の一つであるクライネ・シャイディク駅へと続いています。興味深いことに、ラウターブルンネンを経由するルートと、グリンデルヴァルトを経由するルートは、クライネ・シャイディク駅にほぼ同時刻に到着するようにダイヤが組まれています。このため、クライネ・シャイディク駅より先の区間へ向かう旅行者は、どちらの経路を選んでも所要時間に大きな差はありません。さらに、クライネ・シャイディク駅より先を含む往復乗車券をお持ちであれば、行きと帰りで異なる経路を選択することが認められています。これは、スイスアルプスの多様な景観をより広く楽しむための魅力的な選択肢となっています。

ユングフラウ鉄道群との関係

ベルナーオーバーラント鉄道は、「ユングフラウ鉄道群（Jungfraubahnen）」と呼ばれる広範な鉄道ネットワークの一員です。Jungfraubahnenは、ベルナーオーバーラント鉄道（BOB）のほか、ヴェンゲルンアルプ鉄道（WAB）、そして有名なユングフラウ鉄道（JB）の三つの主要な登山鉄道を総称する名称として案内されています。これらの鉄道間では、乗車券のデザインが統一されており、利用者の利便性が高められています。また、BOBの支線であるシーニゲ・プラッテ鉄道線（SPB）の乗車券にも、この共通デザインが適用されています。

Jungfraubahnen内のみで完結する乗車券は、購入から1ヶ月間有効という長期設定が特徴です。しかし、もし乗車する区間にスイス連邦鉄道（スイス国鉄）の路線が1駅でも含まれる場合は、その乗車券の有効期限はスイス国鉄の規定に従うことになります。このように、BOBは地域内の重要な交通機関であると同時に、ユングフラウ地方全体を巡る広範な鉄道観光ネットワークの一部として機能しています。

運用車両

現在、ベルナーオーバーラント鉄道の旅客列車は、主にラック式電車が牽引または駆動して運行されています。主力として活躍している形式には、ABeh4/4I形やABeh4/4II形などがあります。これらの近代的な電車は、急勾配に対応するための強力な粘着性能とラック方式の制動力を備えています。

BOBが電化されたのは1914年ですが、その当時はラック式の電気機関車が主に使用されていました。当時の車両であるHGe3/3形電気機関車の一部は、現在も動態保存機として良好な状態で維持されており、特定のイベントなどでその雄姿を見ることができます。また、過去に旅客用として使用されていたABDeh4/4形ラック式電車を改造したDeh4/4形車両も存在します。これらは主に事業用として、あるいは冬季の除雪作業などに使用されており、路線の維持管理を支える重要な役割を担っています。これらの多様な車両が、日々安全な運行を確保しています。

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