ベルビア

富士フイルム「ベルビア」シリーズ：鮮烈な色彩を捉えるリバーサルフィルム

「ベルビア」は、富士フイルムが製造するカラーリバーサルフィルムのブランド「フジクローム」を代表する銘柄の一つです。その特徴は、鮮やかで彩度の高い発色。特に風景写真やネイチャーフォトにおいて、その描写力が際立ちます。

歴史と概要

ベルビアシリーズは、1990年3月に「フジクロームベルビア」（ISO50）の発売から始まりました。その後、2003年には「ベルビア100F」と「ベルビア100」が加わり、ラインナップを拡充。これらのフィルムは、過去のフジクローム製品から色再現性、像構造画質、画像堅牢性を大幅に向上させたと評価されています。

しかし、2006年には一部原材料の入手困難から「フジクロームベルビア」が製造中止となり、「ベルビア100F」と「ベルビア100」のみの販売となりました。その後、2007年には後継製品として「ベルビア50」が登場し、現在に至ります。

特筆すべきは、2000年から2010年の一部製造分に、環境負荷物質であるPFOSが含有されていた点です。富士フイルムは、この事実を公表し、環境への配慮を表明しています。

各モデルの詳細

ベルビア50

2007年に発売された「ベルビア50」は、前モデルの「フジクロームベルビア」の代替品として開発されました。赤緑色を強調したイメージカラーを持ち、特に夕景や緑色の描写に優れています。粒状性はRMS:9で、蛍光灯下では緑色に被りやすい傾向があります。

このフィルムは、135フィルムでは厚さ0.127mm、120/220フィルムでは厚さ0.098mmのセルローストリアセテートを支持体として使用。シートフィルムでは、厚さ0.175mmのポリエステルを使用しています。現像処理には、「フジクロームフィルムプロセスCR-56」が推奨され、コダックの「E-6現像」とも互換性があります。

また、「ベルビア50」を原反としたスーパー8フィルムも、ドイツのヴィットナー・シネテックや日本のレトロエンタープライズなどが製造・販売しています。

ベルビア100F

「ベルビア100F」は、2003年に発売されたモデルで、忠実な発色を特徴としています。粒状性はRMS:8で、風景写真やドキュメンタリー写真など、鮮やかな発色を必要とする場合に最適です。蛍光灯下での色の偏りも少なく、画像保存性も優れています。

フィルムの構造は、「ベルビア50」と同様で、現像処理も同じ「フジクロームフィルムプロセスCR-56」または「E-6現像」が推奨されています。

「ベルビア100F」は、発売年に欧州映像音響協会（EISA）とテクニカル・イメージ・プレス・アソシエーション（TIPA）のダブル受賞を果たしており、その品質が高く評価されています。

ベルビア100

同じく2003年に発売された「ベルビア100」は、赤緑色強調のイメージカラーを持つフィルムです。「ベルビア50」に近い描写傾向を持ちながら、蛍光灯下での色の被りが少なく、画像保存性も向上しています。粒状性はRMS:8を実現しました。

フィルム構造は他のベルビアシリーズと同様で、現像処理も同じく「フジクロームフィルムプロセスCR-56」または「E-6現像」が推奨されています。

フィルムシミュレーション

富士フイルムのデジタルカメラには、「フィルムシミュレーションモード」に「Velvia(ビビッド)」が搭載されています。これは同名のフィルムを模倣したものではありませんが、フィルムの色味を参考に開発されており、デジタルでもベルビアのような鮮やかな表現を楽しむことができます。

まとめ

富士フイルムの「ベルビア」シリーズは、その鮮やかな発色と描写力で、多くの写真愛好家を魅了してきました。フィルムの種類によって異なる特徴を持ち、それぞれのシーンに最適な表現を可能にします。デジタルカメラの「フィルムシミュレーション」にもその名が残るなど、フィルム時代から現代まで、その影響力は非常に大きいと言えるでしょう。

もう一度検索