ベルリン日独センター

ベルリン日独センターについて

ベルリン日独センター（Japanisch-Deutsches Zentrum Berlin, JDZB）は、日本とドイツの政府が共同で設立した、学術・文化交流を目的とする財団です。1983年の中曽根康弘首相とヘルムート・コール首相の合意に基づき設立され、両国間の知的交流や異文化理解を深めるための様々な事業を展開しています。

概要

センターは、会議、文化、人的交流事業を柱に活動しており、学術、文化、経済など幅広い分野での日独間の協力を推進しています。特に、アジア太平洋地域やヨーロッパ諸国との連携も視野に入れ、国際的な視点から日独の協力関係を深める事業に取り組んでいます。運営は日独の公的資金で折半され、両国同数の理事で構成される二国間機関として、国際的にも珍しい存在です。

沿革

設立当初、センターは旧日本大使館の建物を修復し活動拠点としていましたが、東西ドイツ統一後のベルリン首都化に伴い、現在のベルリン自由大学近接の場所に移転しました。

1985年：財団法人として設立、仮事務所で事業開始。
1986年：旧日本大使館の修復工事開始。
1987年：旧大使館事務管理棟竣工。
1988年：旧大使館本館竣工。
1990年：東西ドイツ統一。
1997年：新事務所増改築工事開始。
1998年：新事務所へ移転。

事業内容

会議系事業

年間約20件の会議、シンポジウム、ワークショップを開催。テーマは社会科学、人文科学、自然科学など多岐にわたり、日独両国の時事的な懸案事項を中心に扱います。参加者は学者、研究者、政治家、実業家、文化人、学生など多様で、開催地はベルリンだけでなく、ドイツ国内やヨーロッパの都市、日本でも実施されています。著名な講演者として、歴代の駐独日本大使、海部俊樹、黒川紀章、池澤夏樹、麻生太郎、野依良治などが名を連ねています。

人的交流事業

日独の青少年交流を推進するため、両政府、公益財団、民間企業からの委託事業として、青少年、次世代リーダー、若手研究者など多様な交流プログラムを提供しています。

文化事業

ベルリン市民向けの展覧会、音楽会、朗読会、映画上映会、演劇など、様々な文化イベントを実施しています。「ダーレム音楽の夕べ」は若手演奏家の登竜門として知られ、多くの著名な音楽家を輩出しています。また、毎年恒例のオープンハウスでは、日本の文化や日常生活をベルリン市民に紹介しています。

日本語講座

15歳以上を対象に、初級から上級まで6段階に分けた日本語講座を開講。年間カリキュラムのほか、書道講座やテーマ別講座、日独会議通訳者養成研修も実施しています。

図書館業務

日独関係や日本研究に関する書籍を中心に、日本語、ドイツ語、英語の約9,000冊を所蔵。一般に公開し、オンラインでの検索も可能です。

出版事業

会議の成果をまとめた報告書や記念出版物を刊行。『東京・ベルリン──19世紀～20世紀における両都市の関係』などの書籍は高い評価を受けています。

運営体制

ドイツの財団法に基づき、理事会と評議会によって運営されています。理事、評議員は日独同数で構成され、各界の有識者が名を連ねています。日本側の評議員には、山下勇、鹿内信隆、長岡實、丸田芳郎、大賀典雄、堤清二、樋口廣太郎などの実業家、東山魁夷、平山郁夫などの文化人、大来佐武郎などの政治家、沢田敏男、小塩節などの学者がいました。

要人来訪

中曽根康弘元首相をはじめ、リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー元大統領など、多くの要人がセンターを訪問しています。皇室関係者も数多く訪問しており、1987年には浩宮徳仁親王（当時）が竣工式に出席され、上皇明仁・上皇后美智子もベルリン日独センターを邦人との謁見の場とされました。その他、高円宮憲仁親王、秋篠宮文仁親王、三笠宮崇仁親王も訪問されています。

参考文献

『ベルリン旧日本国大使館建物開所式典（1987年11月8日）記念出版』
ベルリン日独センター広報誌『jdzb echo』
『在ベルリン旧日本国大使館修復事業基金報告書』
『ベルリン日独センター10周年』
『ベルリン日独センター20周年』
『ベルリン日独センター設立25周年記念祝賀講演会』
『ベルリン日独センター設立30周年記念祝賀講演会』

外部リンク

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