ベルリン芸術アカデミー

ベルリン芸術アカデミー（Akademie der Künste, Berlin）は、ドイツ連邦共和国の公法人であり、視覚芸術、建築、音楽、文学、舞台芸術、映画、メディアアートといった幅広い分野の育成を目的としています。また、各時代を代表する芸術家が集う国際的なグループとしての側面も持ち合わせています。

歴史

アカデミーの起源は、1696年にブランデンブルク選帝侯フリードリヒ3世によって設立された「絵画・彫刻・建築芸術アカデミー」に遡ります。その後、「王立プロイセン芸術・機械学アカデミー」や「王立ベルリン芸術・機械学アカデミー」といった名称を経て、1809年から1882年までは「王立プロイセン芸術アカデミー」として知られました。

さらに、1882年には「王立芸術アカデミー」、1926年から1945年までは「プロイセン芸術アカデミー」と変遷を遂げました。現在のベルリン芸術アカデミーは、1993年10月1日に、以下の二つの制度を統合する形で設立されました。

1950年に東ベルリンに設立された「ドイツ芸術アカデミー」（後に「東ドイツ芸術アカデミー」、そして「ベルリン芸術アカデミー」と名称変更）
1954年に西ベルリンに設立された「芸術アカデミー」

東西分裂という歴史的背景を経て、現在の形に統合されたことが、ベルリン芸術アカデミーの特筆すべき点です。

場所

現在のアカデミーの本拠地は、ベルリン・ミッテ区のパリザー・プラッツ4に位置しています。この建物は、2005年に建築家ギュンター・ベーニッシュによって設計され、以前は王立プロイセン芸術アカデミーのために改築されたパレ・アルニムがあった場所に建てられています。現在はホテル・アドロンに隣接しています。

旧西ベルリン芸術アカデミーの本拠地はハンザ地区にあり、現在もイベントや会議、展覧会などに利用されています。また、旧東ドイツ芸術アカデミーがあった場所は、ランゲンベック・ヴィルヒョー・ハウスでした。

目的

ベルリン芸術アカデミーは、以下の目的を掲げて活動しています。

芸術と文化全体の表現
芸術の促進と支援
社会における芸術事情の代表
ベルリンの国際的影響力の拡大
文化的・国民的発展への貢献
文化遺産の保護
芸術と文化に関するドイツ連邦への助言と支援

これらの目的からもわかるように、アカデミーは公益性の高い活動を重視しています。

部門

アカデミーは、以下の部門に分かれており、各分野で専門的な活動を行っています。

視覚芸術
建築
音楽
文学
舞台芸術
映画、メディアアート

文学部門では、2006年から2010年まで作家のフォルカー・ブラウンが責任者を務め、その後、インゴ・シュルツェが後任となりました。

理事長

歴代の理事長には、東ドイツと西ドイツ、そして統合後のベルリン芸術アカデミーにおいて、著名な文化人が名を連ねています。以下にその一部を挙げます。

東ドイツ

ハインリヒ・マン (1950, 名義上)
アルノルト・ツヴァイク (1950–1953)
ヨハネス・R・ベッヒャー (1953–1956)
オットー・ナーゲル (1956–1962)
ヴィリ・ブレーデル (1962–1964)
コンラート・ヴォルフ (1965–1982)
マンフレート・ヴェクヴェルス (1982–1990)
ハイナー・ミュラー (1990–1993)

西ドイツ

ハンス・シャロウン (1955–1968)
ボリス・ブラッハー (1968–1977)
ヴェルナー・ドュットマン (1977–1983)
ギュンター・グラス (1983–1986)
ギーゼルヘル・クレーベ (1986–1989)
ヴァルター・イェンス (1989–1997)
ジェルジ・コンラッド (1997–2003)
アドルフ・ムシュク (2003–2005)
クラウス・シュテーク (2005 - )

芸術アカデミーのアーカイヴ

ベルリン芸術アカデミーのアーカイヴは、ドイツ語圏において1900年以降の最も重要な芸術と文化のアーカイヴとされています。アカデミーの会員規則に準じて、全ての芸術家が登録されており、芸術的・文化史的に重要な資料を収集・整理し、学術や公共に提供することを目的としています。

特に、ペーター・ツァデックやクリストフ・シュリンゲンズィーフといった著名な芸術家の記録も保管されており、その活動を後世に伝える貴重な資料となっています。

ベルリン芸術アカデミーは、ドイツの芸術と文化を牽引する重要な機関であり、その活動は国内外から注目されています。

もう一度検索