ベルンハルト・フォン・ザクセン＝ヴァイマル

ベルンハルト・フォン・ザクセン＝ヴァイマル：三十年戦争の英雄

ベルンハルト・フォン・ザクセン＝ヴァイマル（1604年8月16日 - 1639年7月18日）は、17世紀のヨーロッパを舞台とした三十年戦争において、傑出した活躍を見せたドイツの将軍であり、傭兵隊長です。彼の生涯は、戦乱の時代を生き抜いた一人の軍人の波乱に満ちた軌跡であり、その軍事的な才能と政治的な野心は、当時のヨーロッパの勢力図に大きな影響を与えました。

生い立ちと初期の軍歴

1604年、ザクセン＝ヴァイマル公ヨハン2世の息子として生まれたベルンハルトは、幼くして両親を亡くし、フリードリヒ・フォン・コスポスによって育てられました。イェーナ大学で学んだ後、ザクセン選帝侯のもとで騎士としての修行を積みます。三十年戦争が勃発すると、彼はプロテスタント陣営に雇われた傭兵として、その軍事的なキャリアをスタートさせました。

ヴィースロッホの戦いやヴィンプフェンの戦いなど、数々の戦いに従軍し、着実に経験を積んでいきます。デンマーク・ノルウェー王クリスチャン4世が三十年戦争に参戦すると、デンマーク軍に加わり、オランダのスヘルトーヘンボスの包囲にも参加しました。

スウェーデン軍での活躍

1630年、スウェーデン王グスタフ2世アドルフが三十年戦争に介入すると、ベルンハルトは直ちにスウェーデン軍に参加します。ブライテンフェルトの戦いでの勝利後、近衛騎兵連隊の指揮官に任じられ、その才能を開花させました。グスタフ2世アドルフの信頼を得て、マンハイム占領やモーゼルからチロルに至る地域での騎行など、数々の軍事作戦を成功に導きました。

1632年のリュッツェンの戦いでは、グスタフ2世アドルフが戦死するという悲劇に見舞われますが、ベルンハルトは混乱の中で指揮権を掌握し、皇帝軍を撤退させるという功績を挙げました。

フランスとの関係と晩年

グスタフ2世アドルフの死後、スウェーデン軍の司令官にはグスタフ・ホルンが就任しましたが、ベルンハルトとは意見の相違が多く、対立することも少なくありませんでした。1634年にハイルブロン同盟が結成されると、フランス宰相リシュリューの意向により、同盟の指揮官に任命されます。この頃から、ベルンハルトはフランスとの結びつきを強め、独自の野心を抱くようになります。

ネルトリンゲンの戦いでの敗北後、彼はフランス軍と契約し、アルザス地方の獲得を目指します。ラインフェルデンやフライブルクでの勝利を経て、ブライザハを陥落させるなど、目覚ましい軍事的成功を収めました。しかし、征服した土地を自らの領地としたいという願望が、リシュリューとの対立を招き、最終的にはフランスへのラインフェルデンやブライザハの譲渡を要求するに至ります。

1639年、ベルンハルトは高熱に冒され、急逝しました。彼の死後、残された軍隊はフランス軍に従属し、ブライザハはフランスの手に落ちました。

ベルンハルト・フォン・ザクセン＝ヴァイマルは、その短い生涯の中で、三十年戦争という激動の時代を駆け抜けました。傭兵隊長としてスタートし、スウェーデン軍の将軍として数々の勝利を収め、最後はフランスとの関係の中で独自の領土を築こうとした彼の姿は、時代の波に翻弄されながらも、自身の野望を追求した一人の英雄として、歴史に刻まれています。

参考文献

菊池良生『戦うハプスブルク家―近代の序章としての三十年戦争』講談社、1995年。
シセリー・ヴェロニカ・ウェッジウッド著、瀬原義生訳『ドイツ三十年戦争』刀水書房、2003年。

関連項目

* ヴァルハラ神殿

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