ベルンハルト・フォン・レーゼンの肖像

ベルンハルト・フォン・レーゼンの肖像

アルブレヒト・デューラー作『ベルンハルト・フォン・レーゼンの肖像』（独: Bildnis Bernhard von Reesen）は、1521年に制作された油彩の肖像画です。ドイツ・ルネサンス美術を代表するこの作品は、ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館に所蔵されています。

作品の背景と詳細

この肖像画は、デューラーが1520年から1521年にかけてネーデルラントを旅行中に描かれました。デューラーは1521年3月16日の日記に、アントワープでベルンハルト・フォン・レーゼンという人物の肖像画を制作し、8フロリンの報酬を得たこと、さらに妻と使用人への贈り物も受け取ったことを記しています。デューラーがネーデルラントで描いた油彩肖像画はわずか3点のみ現存しており、その全てが左向きの男性像という共通の構図を持っています。本作は、その中でも最も完成度が高いと評価されています。

画面構成は、茶色の地を背景に、黒、白、肌色という大きな色面が安定的に配置されています。モデルの男性は黒い衣服に白いシャツを着用し、フランドル絵画の伝統に従い、手は画面下部で切り取られています。彼は、何か書き付けのある小さな紙を持っています。デューラーの肖像画は、フランドル絵画の伝統とヴェネツィア派の特徴を巧みに融合させています。

モデルは、赤い背景の前に4分の3正面向きで描かれており、そのクローズアップは、明るい顔と大きなベレー帽を際立たせています。顔立ちは角ばっていますが、デューラーの繊細な筆致によって柔らかな印象を与えます。フォン・レーゼンは力強く自信に満ちた姿で描かれていますが、遠くを見つめる視線は、瞑想的な特質を人物のポーズに加えています。構図は対角線によって支配され、肖像画に強い印象を与えています。

モデルの特定

モデルの男性は、手に持っている手紙とデューラーの日記の記述から、ベルンハルト・フォン・レーゼンであると同定されました。手紙の文字の解読は困難ですが、彼がグダニスク出身の裕福な商人であり、当時アントワープに居住していたことがわかっています。当時、商人は手紙を持って描かれることが一般的でした。彼は肖像画が描かれた年に30歳で亡くなっています。

かつて、一部の研究者は、デューラーがブリュッセル滞在中に知り合ったフランドルの画家ベルナールト・ファン・オルレイをモデルとする説を唱えましたが、1972年にエルナ・ブラント博士によって否定され、モデルはベルンハルト・フォン・レーゼンであることが確定しました。

同時代のデューラーの肖像画

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外部リンク

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脚注

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