ベル・エポックでもう一度

ベル・エポックでもう一度：過去と現在を行き来する、甘酸っぱいラブストーリー

2019年、フランスとベルギー合作で制作されたロマンティック・コメディ映画『ベル・エポックでもう一度』。デジタル化の波に乗り遅れ、人生に倦みきった60代の元イラストレーター、ヴィクトルは、妻マリアンヌと激しい口論の末、家を追い出されてしまう。

行き場を失ったヴィクトルは、友人であり、マリアンヌの愛人でもある精神科医フランソワの別宅に身を寄せる。一方、マリアンヌはフランソワと新しい生活を始める。そんな中、ヴィクトルは息子マクシムからプレゼントされた「タイムトラベルサービス」の存在を思い出す。このサービスは、顧客が希望する時代と場所を精巧なセットと役者を使って再現するという、体験型のエンターテインメントだ。

ヴィクトルは、運命の出会いを果たした1974年5月16日のリヨンにあるカフェ「ラ・ベル・エポック」を再現することを決意する。それは、彼の描いたイラストを元に、タイムトラベルサービスが現実のものとして作り上げる。このサービスを立ち上げたアントワーヌは、子供の頃、ヴィクトルの作品に救われた過去を持ち、ヴィクトルの創作意欲を呼び覚ますことを願っていた。

見事に再現された1974年のリヨンに心を奪われたヴィクトルは、妻マリアンヌ役を演じる女優マルゴに惹かれていく。マルゴとの出会いは、失いかけていたヴィクトルの創作意欲を再び燃え上がらせる。彼は、タイムトラベルサービスの利用費用を稼ぐため、息子のマクシムが経営するネット配信企業との共同事業に乗り出す。

若手スタッフと共に精力的に働くヴィクトルは、マルゴとの交流を通して、かつての活力を取り戻していく。マルゴもまたヴィクトルに惹かれ、女優業を離れて彼と深く関わろうとする。しかし、ヴィクトルの真剣な想いを理解したマルゴは、アントワーヌらと協力し、自分自身も演技の一部だったと告げる。それは、ヴィクトルの恋心を諦めさせるための苦渋の選択だった。

マルゴの告白によって深く傷ついたヴィクトルは、その後、マリアンヌとフランソワが暮らす家を訪れる。そこで、彼はタイムトラベルサービスを利用した経験、そしてそのために失ったものすべてを告白する。フランソワとの生活に疑問を持ち始めていたマリアンヌは、ヴィクトルへの変わらぬ愛を再確認し、彼と共にタイムトラベルサービスで1974年のリヨンへと戻る。

2人は再び「ラ・ベル・エポック」で出会い、失われた愛を取り戻す。この映画は、過去への郷愁と、現代社会における人間関係の複雑さを繊細に描いた、心温まるロマンティック・コメディである。

キャスト

ヴィクトル：ダニエル・オートゥイユ（元売れっ子イラストレーター）
アントワーヌ：ギヨーム・カネ（タイムトラベルサービスの起業者）
マルゴ：ドリヤ・ティリエ（女優、アントワーヌの恋人）
マリアンヌ：ファニー・アルダン（ヴィクトルの妻、精神科医）
フランソワ：ドゥニ・ポダリデス（マリアンヌの患者で愛人、ヴィクトルの友人）
マクシム：ミカエル・コーエン（ヴィクトルとマリアンヌの息子、ネット配信企業経営）

作品の評価

フランスのアロシネ、Rotten Tomatoes、Metacriticなど、多くの映画批評サイトで高い評価を得ている。バラエティ誌やハリウッド・リポーター誌の評論家からも絶賛され、その独創的なストーリーと魅力的なキャラクターが称賛されている。第45回セザール賞では11部門にノミネートされ、3部門で受賞を果たした。

この映画は、時代を超えた愛の物語、そして人生の新たな始まりを描いた、忘れられない作品と言えるだろう。

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