ベレンガーリオ2世

ベレンガーリオ2世は、900年頃に生まれ、966年7月6日に亡くなったイタリア王であり、イヴレーア辺境伯でもありました。彼は、イヴレーア辺境伯アダルベルト1世と、イタリア王ベレンガーリオ1世の娘ジゼラの間に生まれました。彼の生涯は、10世紀のイタリアにおける政治的な変動と権力闘争に深く関わっています。

950年、ロターリオ2世が亡くなると、ベレンガーリオ2世は息子のアダルベルト2世と共にイタリア王として戴冠しました。しかし、前王の死に毒殺の疑いがかけられたことで、彼らの王位は不安定なものとなりました。この状況を打開するため、ベレンガーリオ2世はロターリオ2世の未亡人であったブルグントのアーデルハイトに、アダルベルトとの結婚を強要し、王位の正当性を強化しようとしました。

この強引なやり方は、ゲルマニアで簒奪行為として非難され、東フランク王オットー1世の介入を招くこととなりました。951年、オットー1世はイタリアに侵攻し、ベレンガーリオ2世親子は逃亡を余儀なくされました。オットー1世は「フランクとイタリキの王」の称号を得て、イタリア王位の要求を始めました。952年、ベレンガーリオ2世は、オットー1世に王位継承を認めさせ、一旦は合意に至りました。

しかし、ベレンガーリオ2世の支配は、封建領主や聖職者たちの不満を招き、彼らは東フランク王の介入を繰り返し求めました。956年から957年にかけて、オットー1世の息子リウドルフがイタリアに介入しましたが、これはアンスカリ家の王位とイタリアでの権力を確認することで終結しました。その後も、ベレンガーリオ2世は教皇領への攻撃的な政策を続けました。そのため、教皇ヨハネス12世はオットー1世に3度目のイタリア侵攻を要請しました。961年、オットー1世が再びイタリアに侵攻すると、ベレンガーリオ2世の軍は戦いを拒否し、彼は息子とともにサン・レーオの要塞に籠城しました。オットー1世はベレンガーリオ2世を正式に廃位し、教皇ヨハネス12世からローマ皇帝の冠を授けられました。

963年、サン・レーオが陥落し、ベレンガーリオ2世は妻ウィラと共に捕らえられ、バンベルクへ追放されました。彼の生涯は、10世紀のイタリアにおける権力闘争の激しさを物語るとともに、神聖ローマ帝国の成立過程における重要な出来事でした。

ベレンガーリオ2世は、トスカーナ辺境伯ボソの娘ウィラとの間に多くの子女をもうけました。

アダルベルト2世（931年 - 975年）：イタリア王
グイード（? - 965年）：イヴレーア辺境伯
コッラード（? - 1001年）：イヴレーア辺境伯
ゲルベルガ：モンフェッラート侯アレラーモと結婚
* ロザーラ（シュザンヌ）（936/45年 - 1003年）：1.フランドル伯アルヌール2世と結婚、2.フランス王ロベール2世と結婚（992年離婚）

これらの子女たちは、その後のヨーロッパの歴史においても重要な役割を果たしました。特にロザーラはフランス王妃となるなど、婚姻を通じてヨーロッパの王室に影響を与えました。

ベレンガーリオ2世の生涯は、中世イタリアの複雑な政治情勢を理解する上で重要な事例です。彼の権力獲得と失脚は、当時の政治的駆け引きや教会の影響力、そして神聖ローマ帝国の成立という歴史的な流れの中で捉えることができます。

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