ベンガジ

ベンガジ（Benghazi）

リビア北東部に位置するベンガジは、地中海に面した主要な港湾都市であり、2024年の人口は約65万人です。アラビア語では「バンガーズィ」と呼ばれ、この都市の歴史や発展は地域の重要な要素となっています。

歴史的背景

古代のギリシア時代、ベンガジは「ヘスペリデス」として知られ、植民地キレナイカの中心都市でした。この地点は、サハラ砂漠を貫通するアラブ商人の隊商路の起点となり、繁栄を謳歌しました。特に、プトレマイオス朝やローマ時代の石墓がベレニケの遺跡として残されており、その歴史的な価値を物語っています。しかし、商業的な中心地としての地位は、次第にトリポリに移り、長らく小都市としての運命を辿りました。

20世紀初頭には、イタリアがこの地域を占領して港湾の整備を行い、商業や軍事上の要所として重要な位置を占めるようになりました。1930年代には、多くのイタリア人もこの地に移住しました。続いて第二次世界大戦の勃発によって、1940年12月にはイギリス軍が占領しましたが、その後すぐにドイツ軍の手に戻ります。その後も様々な国の支配が続き、「振り子戦争」として知られる激動の時代を経て、最終的には1943年にイギリス軍により占領されました。戦後はキレナイカ首長国の首都としての地位を確立し、リビア連合王国の成立後にはトリポリと共に複都制の発展を迎えました。

近現代の発展

1955年にリビア大学が設立されるなどし、近代的な都市の発展が始まりました。同時に、この地域のイスラム色が強く残っていることも特徴的です。1960年代からは内陸部の油田開発が進み、オイルマネーが流入し急速な発展を遂げました。この繁栄により、製塩、食品加工、セメント、皮革産業、水産業、観光など、多様な工業が興隆しました。また、水不足を解消するために、世界最大級の海水淡水化プラントも稼働しています。

1969年にはカッザーフィー大佐による革命が起き、王政が廃止されましたが、ベンガジはカッザーフィー政権への支持が薄く、2011年のリビア内戦では反体制の拠点となりました。この戦争の後、地域の指導者たちが集まり「キレナイカ暫定評議会」を設立し、自治を求める動きが強まりました。これにより国民評議会との対立が生じ、東西間での対立が懸念されました。

さらに、2014年には政府軍特殊部隊の基地がイスラム系武装勢力に襲撃され、一時占拠される事件が発生しました。その後、ハリファ・ハフタルが指導するリビア国民軍がベンガジを本拠地とし、地域の安定に向けた活動を開始しました。

地理と気候

ベンガジは地中海に面し、ギリシャの対岸から約400km離れた位置にあります。南部は砂漠気候で、山地には肥沃な農耕地が広がっています。オリーブや果物、野菜が豊富に採れる地域です。気候は半乾燥で、冬の寒さと夏の暑さが特徴的です。

交通アクセス

近隣にはベニナ空港があり、共用空港として地域の交通の便を確保しています。

ベンガジは、その歴史、文化、産業の多様性に加え、内戦後の混乱を経ても新たな発展の道を模索している町です。

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