キレナイカ

キレナイカ: リビアの歴史的地域

キレナイカ（Cyrenaica）は、北アフリカに位置するリビアの東部地方であり、古典期からその名が知られています。長年にわたり「バルカ」という名前でも呼ばれ、リビアの三つの歴史的地域の一つとして認識されています。古代ギリシャ時代に設立された植民市、キュレネにその語源を持つこの地域は、現在のシャアビーヤと呼ばれる行政区に細分化され、アジュダビーヤー、ベンガジ、ダルナなどの自治体が存在します。

地理と気候

キレナイカの地形は平坦で、南から北にかけて微妙に傾斜を持ち、サハラ砂漠やリビア砂漠が広がっています。海岸線に接する地域には、600メートル級のアフダル山地が存在し、夏は摂氏30から40度に達することもある一方、冬には氷点付近まで下がることがあります。この地域は典型的な砂漠気候ですが、ベンガジ以東の沿岸部では地中海式農業が行われています。内陸部では水のパイプラインを利用した灌漑農業も発展しており、1950年代にはアメリカの資本によって油田の開発が進められ、リビア最大の油田地帯となりました。

歴史的変遷

古代の繁栄

紀元前630年頃、サントリーニ島からのギリシャ人がこの地に入植し、キュレネを設立しました。その後、キュレネ、アポロニア、ヘスペリデス、トクラ、トルメイタの五つの都市が統合され、古代キュレネ王国が形成されました。紀元前515年にはアケメネス朝ペルシアの属国となり、その後アレクサンドロス3世に征服されましたが、わずかに独立を保ちながら、紀元前96年にはローマ共和国の一部となりました。

イスラム支配とその後

644年ごろ、ウマルによって征服され、ウマイヤ朝、ファーティマ朝、マムルーク朝の支配下に置かれました。1517年以降はオスマン帝国の一部となりました。20世紀初頭には伊土戦争を契機にイタリアがこの地の支配権を取得し、サヌーシー教団による抵抗運動も見られました。

イギリスの植民地支配

第二次世界大戦中、キレナイカはイギリスの管理下に置かれ、戦後にはイドリース1世がキレナイカの独立を宣言しましたが、実際にはイギリスとの協定に従属する形となり、冷遇される時代が続きました。

現代のキレナイカ

1951年にはリビア王国が成立し、キレナイカの中心都市ベンガジは重要な都市としての地位を確立しました。その後、カダフィ大佐による政権が成立し、独立した統治が試みられましたが、地域内の対立は続いています。2011年の内戦では、ベンガジが反政府活動の中心となりました。

現在、キレナイカはリビアにおける石油資源の多くを抱えていますが、地域への投資は依然として低迷しています。地元の政治的状況や国際関係の影響が、この地域の発展に大きな影響を与えています。また、この地域の情勢は、リビア全体の安定にとって重要な要素であり続けています。

主要都市

• - ベンガジ: キレナイカの最大の都市で、経済や文化の中心地。
• - トブルク: 地中海に面した港町。
• - アジュダービヤー: 歴史的な町で油田の近くに位置する。
• - キュレネ: 古代ギリシャの都市で、ユネスコの世界遺産。
• - ジャウフ: 内陸のオアシス都市。

もう一度検索