ベンジャミン・バトン 数奇な人生

映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』解説

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』（原題: The Curious Case of Benjamin Button）は、2008年に公開されたアメリカのファンタジー・ドラマ映画です。F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を基に、エリック・ロスとロビン・スウィコードが脚本を執筆、デヴィッド・フィンチャーが監督を務めました。

あらすじ

物語は、2005年のニューオーリンズの病院から始まります。老女デイジーは、娘キャロラインに、ベンジャミン・バトンという男の日記を読み聞かせるよう頼みます。日記には、1918年、第一次世界大戦終結の日に生まれたベンジャミンの奇妙な人生が綴られていました。彼は80歳の老人の姿で生まれ、歳を取るごとに若返っていくという、数奇な運命を背負っていたのです。

老人ホームに捨てられていたベンジャミンは、黒人夫婦のクイニーとティジーに拾われ、育てられます。成長するにつれ、彼は外見だけでなく心も若返っていき、周囲とのギャップに苦悩しながらも、様々な出会いと別れを経験します。

1930年、ベンジャミンは老人ホームでデイジーという少女と出会い、惹かれ合いますが、老人の姿をしたベンジャミンと少女のデイジーが共に過ごすことは許されませんでした。1936年、若返り元気になったベンジャミンは世界を知るため旅に出ます。一方、デイジーはバレリーナを目指しニューヨークへ。互いに夢を追いかける中で、ベンジャミンは船乗りとして働き、人妻との恋や戦争を経験し、人生の喜びと悲しみを味わいます。

やがて、ベンジャミンとデイジーは再会し、愛を深めます。しかし、若返り続けるベンジャミンは、成長していくデイジーとの未来に不安を感じ、彼女の前から姿を消すことを決意します。

その後、ベンジャミンは10代の姿となり、認知症を発症。自分のことさえ分からなくなった彼は、デイジーの元へ戻ります。次第に幼児の姿へと退行し、最後は赤ん坊として、老婆となったデイジーに抱かれながら息を引き取ります。

キャスト

ベンジャミン・バトン：ブラッド・ピット
デイジー・フューラー：ケイト・ブランシェット
クイニー：タラジ・P・ヘンソン
キャロライン・フューラー：ジュリア・オーモンド

製作の背景

企画は1980年代から始まり、紆余曲折を経て、最終的にデヴィッド・フィンチャーが監督を務めることになりました。ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットのキャスティングも実現し、豪華なキャストが揃いました。

撮影は、製作インセンティブを活用するため、ニューオーリンズを中心に行われました。特殊効果を駆使して、ベンジャミンの若返りをリアルに表現しています。

評価

本作は、第81回アカデミー賞で作品賞を含む13部門にノミネートされ、美術賞、視覚効果賞、メイクアップ賞を受賞しました。批評家からも高い評価を受け、Rotten Tomatoesでは73%、Metacriticでは70/100のスコアを獲得しています。

テーマ

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、時間、愛、喪失、そして人生の意味について深く考えさせられる作品です。ベンジャミンの数奇な運命を通して、私たちは人生の儚さや、今この瞬間を大切に生きることの重要さを改めて認識させられます。

まとめ

デイヴィッド・フィンチャー監督が、ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェットら豪華キャストを迎え、F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を映像化した『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。特殊効果を駆使した映像美、感動的なストーリー、そして豪華キャストの演技が光る、忘れられない名作です。

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