ベントレー・4¼リットル

ベントレー・4¼リットル：戦間期の英国が生んだ高性能車

ベントレー・4¼リットルは、ベントレーが1936年から1939年にかけて製造した高級乗用車です。その卓越した性能と希少性から、クラシックカー愛好家にとって憧れの存在となっています。本稿では、この名車の魅力を詳しく探ります。

ロールスロイスを凌駕する動力性能

このモデルのベースとなったのは、ロールスロイス・25/30HPです。しかし、ベントレー・4¼リットルは単なる改良車ではありませんでした。スキナーズ・ユニオン製ツインキャブレターの採用や、シャシーの低重心化・短縮化など、数々のチューニングが施され、ベースモデルをはるかに凌駕する性能を誇りました。

直列6気筒エンジンは、内径88.9mm、行程114.3mm、排気量4255cc。最高出力は公表されていませんが、最高速度はロールスロイス・25/30HPを30km/h以上上回る154km/hに達したとされています。これは、当時の自動車としては驚異的な速度でした。トランスミッションは4速マニュアル。ホイールベースは3200.4mm(126インチ)です。

後期型への改良と生産終了

後期型では、カムシャフトの改良とハイギアード化が施され、最高速度はさらに向上し172km/hに達しました。この性能向上は、ベントレーの技術力の高さを如実に示しています。しかし、ロールスロイス・25/30HPの後継車であるロールスロイス・レイスの登場により、ベントレー・4¼リットルの生産は1939年に終了しました。総生産台数は1234台と、希少なモデルとなっています。

ベントレー・マークVへの継承

ベントレー・4¼リットルの後継車として登場したのが、ベントレー・マークVです。こちらもロールスロイス・レイスをベースとしていますが、シャシーはベントレー独自の改良が施され、優れた走行性能を実現していました。ベントレー・4¼リットルで培われた技術は、その後継モデルへと受け継がれ、ベントレーの伝統と技術力の進化を物語っています。

まとめ：希少性と高性能を兼ね備えた名車

ベントレー・4¼リットルは、ロールスロイス・25/30HPをベースに、ベントレー独自の技術とこだわりを凝縮した高性能車でした。その希少性と卓越した性能は、今日でも多くのクラシックカー愛好家を魅了し続けています。1234台という限られた生産台数は、その価値を高める大きな要因となっています。戦間期の英国自動車史において、重要な位置を占める一台と言えるでしょう。

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