ベントレー・4½リットル

ベントレー4½リットルは、1927年から1931年という期間に製造された、ベントレーモーターズを象徴する高級乗用車です。このモデルは、ブランドの歴史において極めて重要な位置を占めており、その高い性能と優雅なデザインから、現在でも世界中のコレクターから熱い視線を注がれています。

その心臓部には、6½リットルモデルと共通の設計思想に基づいた、直列4気筒エンジンを搭載しています。シリンダー内径100mm、ストローク140mmという寸法から生み出される排気量は4,398cc。圧縮比4.8のこのエンジンは、最高出力110馬力を発生させます。これは当時の自動車としては非常に高い出力であり、そのパワフルな走りから多くのドライバーを魅了しました。

生産期間中に改良が加えられ、後期型では圧縮比が5.3に向上しました。しかしながら、最高出力の変更は行われず、110馬力のまま維持されています。これは、当時の技術水準や、信頼性と耐久性のバランスを考慮した結果だと考えられます。

ベントレー4½リットルは、その優れた性能だけでなく、生産台数も注目に値します。わずか665台という限定生産であったため、希少価値が高く、現在では非常に高価で取引されています。

さらに、このモデルの大きな魅力の一つとして、スーパースポーツ仕様の存在が挙げられます。ブロワーと呼ばれるこのモデルは、スーパーチャージャーを装備することで、標準モデルをはるかに凌駕するパワーと加速性能を実現しています。サーキットを駆け抜けるその姿は、まさにスポーツカーの理想形と言えるでしょう。

その実力は、輝かしいレース戦績にも表れています。1928年のル・マン24時間レースでは総合優勝を果たし、その名を世界中に轟かせました。さらに翌1929年には、2位、3位、4位と上位を独占するという偉業を達成しました。これにより、ベントレー4½リットルの高い信頼性と性能が広く知られることとなりました。これらの戦績は、当時の自動車レース界において、ベントレー4½リットルがトップクラスの実力を持っていたことを証明しています。

ベントレー4½リットルは、高い性能と希少性、そして栄光に満ちたレースの歴史を併せ持つ、まさに伝説的な自動車です。その存在は、ベントレーというブランドの揺るぎない地位を築き上げる上で、大きな役割を果たしたと言えるでしょう。その洗練されたデザイン、そして力強い走りは、現在でも多くの人々を魅了し続けています。

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