ベン・スミス (ニュージーランドのラグビー選手)

ニュージーランドが世界に誇るラグビーユニオンの元選手であり、現在は指導者としても活躍するベン・スミス（Ben Smith）は、1986年6月1日に南島ダニーデンに生を受けました。

選手としてのキャリアでは、バックスとして幅広いポジションをこなすユーティリティ性が特長で、主にウィング（WTB）、センター（CTB）、そしてフルバック（FB）としてプレーしました。特にフルバックでの堅実なプレーと卓越した攻撃参加は、多くのファンを魅了しました。

輝かしい選手キャリア

スミスのキャリアは、地元のラグビー協会チームであるオタゴで本格的にスタートしました。その後、スーパーラグビーに所属するハイランダーズの一員となります。ハイランダーズでは長きにわたりチームの主要選手として活躍し、その中心的な存在感を示しました。

彼の能力は国内だけでなく、世界レベルでも高く評価されました。まず、アンダー21ニュージーランド代表や、7人制ニュージーランド代表としての経験を積み、国際舞台でのキャリアをスタートさせます。そして、ラグビーユニオンにおけるニュージーランドのナショナルチーム、オールブラックスに選出されます。

オールブラックスでは、通算84キャップを獲得するという偉大な記録を樹立しました。これはニュージーランド代表の歴史においても、多くの伝説的選手たちと並ぶ非常に価値のある数字です。彼はオールブラックスの一員として、ラグビー界最高峰の大会であるラグビーワールドカップに2度出場しています。2015年大会、そして2019年大会と、世界の舞台でニュージーランド代表の勝利に貢献しました。

ニュージーランドでの活躍後、彼は海外への挑戦を決断します。2019年にはフランスのクラブチーム、セクシオン・パロワーズ（ポー）に加入し、ヨーロッパでのプレーを経験しました。

続いて、日本のラグビーリーグへの移籍を選びます。2020年には、当時ジャパンラグビートップリーグに所属していた神戸製鋼コベルコスティーラーズ（現在のコベルコ神戸スティーラーズ）に加入しました。日本での公式戦初出場は、2021年2月20日に行われたトップリーグのNECグリーンロケッツ戦で、この試合に先発出場を果たしています。

日本のチームには、比較的短期間ながらも二度にわたって所属するという珍しい経緯をたどりました。2021年に一度コベルコ神戸スティーラーズを退団しましたが、翌2022年3月には再びチームに加入します。しかし、再加入から数ヶ月後の同年6月には、再度チームを離れることとなりました。この短い期間ではありましたが、日本のラグビーファンにもその卓越した技術と経験を示す機会となりました。

指導者としての新たな道

選手としての輝かしいキャリアを終えた後、ベン・スミスはラグビーへの情熱を指導者として注ぎ始めます。2022年には、かつて選手としてプレーしたオタゴ州のNPCチームでコーチングに携わりました。翌2023年シーズンには、自身の古巣であるスーパーラグビーのハイランダーズでコーチを務め、プロレベルでの指導経験を積みました。

さらに、2024年11月には、日本のラグビーチームである静岡ブルーレヴズの延岡合宿に、5日間の期間限定でスポットコーチとして帯同しました。これは、選手として経験した日本のラグビー界との新たな関わり方を示しています。

ベン・スミスは、選手としては84キャップを数えるオールブラックスとして世界のラグビー史にその名を刻み、ウイング、センター、フルバックという異なる役割で最高レベルのパフォーマンスを発揮しました。そして現在、指導者として、後進の育成とチームの強化に貢献するという新たなキャリアを歩んでいます。彼の豊富な経験とラグビーへの深い理解は、今後の指導者としての活動においても大きな力となるでしょう。

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