セクシオン・パロワーズ

フランス南西部、ピレネー＝アトランティック県に位置するポー市を本拠地とするプロフェッショナルラグビーユニオンクラブ、セクシオン・パロワーズ（Section Paloise）は、国内最高峰リーグであるトップ14に所属しています。クラブはしばしば「セクシオン」または「ポー」という愛称で親しまれています。

クラブの成り立ちと歴史

1902年に創設されたセクシオン・パロワーズは、フランスラグビー界において長い歴史を持つ古豪として知られています。特に国内リーグでは、フランス選手権（現在のトップ14）で3度の優勝を飾っており、1928年、1946年、そして1964年に国内王者の栄冠に輝きました。これらのタイトル獲得は、クラブがフランスラグビーの黎明期から中心的な存在であったことを示しています。

国内リーグ以外でも、クラブは輝かしい実績を残しています。欧州クラブNo.2決定戦であるEPCRチャレンジカップでは、1999-2000シーズンに優勝を果たし、欧州の舞台でもその実力を証明しました。また、準優勝も一度（2004-05シーズン）経験しています。フランス国内のカップ戦であるチャレンジ・イヴ・デュ・マノワールでは、1939年、1952年、1997年と3度にわたって優勝を遂げています。さらに、2部リーグにあたるフランス・プロD2においても、2015年にタイトルを獲得し、トップリーグへの昇格を果たしています。

本拠地とクラブ運営

セクシオン・パロワーズは、その歴史の中でホームグラウンドを変遷させてきました。1910年から1990年までの長い間、クラブはクロワ・デュ・プランス（Stade de la Croix du Prince）を本拠地としていましたが、1991年からはスタッド・デュ・アモー（Stade du Hameau）に移転し、現在に至るまでここを拠点に活動しています。

クラブの運営は、ポー市内にオフィスを構えて行われています。主要なスポンサーとしては、国際的なエネルギー企業であるトタルエナジーズからの支援を受けており、プロクラブとしての基盤を強化しています。

クラブの試合開始前には、公式アンセムである「オナダダ（Honhada）」が歌われます。このアンセムは2012年3月から使用されており、スコットランドの有名な民謡「水は広い（The Water Is Wide）」の美しいメロディーに乗せて歌われ、サポーターとチームの一体感を高めています。

クラブを彩った選手たち

セクシオン・パロワーズは、これまで数多くの著名なラグビー選手を輩出し、また世界中から才能ある選手を受け入れてきました。クラブでプロキャリアをスタートさせ、後にフランス代表として活躍した選手には、イマノル・ハリノルドキ、ダミアン・トレイユ、リオネル・ボクシス、そして現在もチームに在籍するアントワーヌ・アストワなどがいます。

国際的なスター選手も多数在籍しました。ニュージーランド代表としてワールドカップ優勝を経験したコンラッド・スミスやコリン・スレイド、さらにラグビーワールドカップ2023後に加入したサム・ホワイトロックといったオールブラックスのレジェンドたちがプレーしています。他にも、イングランド代表のステフォン・アーミテージが長期間在籍したほか、アルゼンチン代表のゴンサロ・ケサダやジョエル・スクラビ、トンガ代表のタニエラ・モアやアフシパ・タウモエペアウ、カナダ代表のマット・ティアニー、ジョージア代表のメラブ・クヴィリカシヴィリ、南アフリカ代表のエルトン・ヤンチース、チリ代表のパブロ・ホイテ、オーストラリア代表のマイク・ハリスやマシュー・フィリップ、ポルトガル代表のヴィンセント・ピントなど、多岐にわたる国籍の選手たちがクラブに貢献してきました。

現在（2024-25シーズン）のスコッドには、フランス代表の将来を担う若手であるヒューゴ・オウラドゥ、テオ・アティソグベ、エミリアン・ガイエトンが名を連ねています。また、イングランド代表経験のあるダン・ロブソンや、同じくイングランド出身の有力なスタンドオフ、ジョー・シモンズなども在籍しており、国内外の実力派が融合したチーム構成となっています。

このように、セクシオン・パロワーズは、その長い歴史の中で獲得した数々のタイトルと、国内外の著名な選手たちの活躍によって、フランスラグビー界において確固たる地位を築いています。古豪としての伝統を守りつつ、現代ラグビーにおいてもトップリーグで存在感を示し続けているクラブです。

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